巨人大鵬卵焼き-。そんな王道もいいけど、ちょっぴりストライクゾーンをずらすのもまた、粋だ。

日本ハム野村佑希内野手(23)は、どストレートよりも、割と“変化球”が好きみたいだ。野球ではなく食の話。人気牛丼店で頼むのは「高菜明太(マヨ牛丼)です。うまいっすよね。あとは期間限定とか食べます」。20代前半の若者なら、誰もが好みそうなラーメンも苦手だという。「こんにゃく麺とかだったら食べられるんですけど、ラーメンはだめっすね。小学校ぐらいとかから、ラーメン屋に家族でいっても僕だけチャーハンとか。元々ダメ」。細麺、太麺、スープの種類もいろいろ試したが、やはり好きになれなかったようだ。

14日からは宮崎でのフェニックスリーグに参戦。炭火で焼いた歯応えたっぷりの地鶏が当地名物だが「地鶏よりも、普通の鶏の方が好き。基本的にせせりとか塩で食べるのが好き」。ちなみに、すしは「貝系が好き」だという。「ツブとかアワビとかが好きですね。マグロとかよりも、貝系を頼む方が多いかな」。若い選手にしては食のチョイスが渋く、主役というよりも、ちょっぴり脇役なネタを好む傾向を、感じた。

野球の方はどうだろう。今季13本塁打のうち8本が直球、5本が変化球。今季本塁打争いを繰り広げるなどブレークした同期の万波は25本中、16本が直球で残り9本が変化球を捉えている。単純にこの数字だけ比較すると、変化球を本塁打にした割合は野村が3割8分5厘、万波が3割6分と大きな差はない。だが打率で見ると様子が異なる。万波は直球2割9分7厘、変化球は2割4分5厘と差が少ないのに対し、野村は直球には3割3厘と強い半面、変化球は1割9分4厘と苦しんでいる。

細かい球種ごとに分けると、さらに違う傾向が出て来るのかも知れないが、直球とそれ以外で比べた場合、野村より万波の方が球種問わずに捉えられていたということが、数字上には表れている。

今季は開幕4番に指名され、途中で調子を落とし2軍調整を経験しながらも自己最多の13本塁打、初の100安打、規定打席到達。来季は万波との本塁打王争いを掲げると同時に「30本打ちたい」と目標に挙げている。その力は十分秘めているし、負のデータを生かし克服すれば、相手投手にもっとプレッシャーを与えることは可能だ。食の好み同様、来季は癖のある“変化球”も、どんどんたいらげるジェイの進化した姿を、期待したい。【日本ハム担当・永野高輔】