イランで女性がかぶる布「ヒジャブ(ヘジャブ)」をめぐる抗議デモが続く中、かぶり方などを取り締まる「風紀警察」が活動を休止したと同国の検事総長が発言しました。そもそも、風紀警察とはどんな組織なのでしょうか。抗議デモは今後、どうなるのでしょうか。現代イラン・アフガニスタン政治が専門の青木健太・中東調査会研究員に聞きました。
――イランメディアは3日、同国のモンタゼリ検事総長が風紀警察の活動休止に言及したと報じました。そもそも、風紀警察とはどんな組織なのですか。
内務省の傘下にある「治安維持軍」(警察)の一組織で、正式名称はペルシャ語で「ギャシュテ・エルシャード」といいます。ギャシュテはパトロールを意味し、エルシャードは指導、教導、正道に導くという意味です。イスラームの戒律が順守されているか、イスラームで禁じられている事柄が起きていないかを市中で監視し、とりわけ女性の服装がイスラームにのっとっているかに目を光らせている組織です。保守強硬派のアフマディネジャド政権下だった2006年ごろ、活動を始めたといわれています。
――抗議デモのきっかけとなったのは9月13日、ヒジャブの着け方が不適切という理由で風紀警察に逮捕され、3日後に急死したマフサ・アミニさん(当時22)のケースでした。デモ隊側は、アミニさんが風紀警察の警察官に警棒でたたかれたり、車の車体に頭を打ち付けられたりしたと主張しています。風紀警察は普段、どういう活動をしているのでしょう。
風紀警察の警察官は、複数人でバンなどの車に乗ってパトロールします。街頭でヒジャブをきちんとかぶっておらず髪の毛が出ていたり、肌が露出しすぎていたりする女性を見つけたら、呼び止めて注意します。タイトなタイプのジーンズなど、ボディーラインが見える服を着ている場合も指導の対象になります。肌が露出してはいけないので、スカートやTシャツもだめです。
指導に従わないと、警棒でたたかれることもあるほか、指導用の施設に連れて行かれる場合もあり、イランの人々の中には風紀警察によい印象を持っていない人も多くいます。
休止発言、取り締まりはどうなる?
――風紀警察の活動休止に検事総長が言及したということは、今後は、ヒジャブなどへの厳しい取り締まりはなくなると考えてよいのでしょうか。
検事総長は風紀警察の活動休…
ヒジャブ取り締まる風紀警察とは? スマホ世代のデモ、変化の予兆か:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル
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