物事を構造的に整理するために役立ち、ビジネスパーソン必須の思考法とされている「ロジカルシンキング」。しかし、現代のように前提が不安定な場合では、必ずしも正しい結論を導き出せるとは限りません。
そこで、ロジカルシンキングを相互補完する思考法として、新たに注目を集めているのが「クリティカルシンキング」です。
「クリティカルシンキングは『目指すもの』を達成するために『自分の頭』で考え、行動し、『周りを動かす』ための実践的な技術なのです。」こう答えるのは、株式会社チェンジウェ―ブ代表・佐々木裕子氏。今の時代にクリティカルシンキングが求められる理由を聞きました。
※本稿は、佐々木裕子著『実践型クリティカルシンキング 特装版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「目指すもの」を達成するための思考ツール
ロジカルシンキングは、物事を構造的に整理するにはとても有効ですが、今のような絶対的な正解のない時代において、それだけでは結果は出せません。
自ら目指すものを設定し、その目標を戦略的に達成していくことが求められ、そのための思考技術がクリティカルシンキングなのです。
ここで大事なのは、クリティカルシンキングは、「思考技術」、つまり「ツール」だということです。道具や手段、考え方ですね。
美味しい料理を手早くつくりたいなら、もちろん切れ味鋭い包丁があったほうがいい。でも、包丁だけ磨き続けて切れ味を鋭くしても、美味しい料理が手早くつくれるわけではありません。
「こんな料理をつくりたい!」と思って初めて、切れ味鋭い包丁が意味を持ってくる。そして、つくる料理がお刺身の盛り合わせなのか、煮物なのか、切る食材が硬いものなのか柔らかいものなのかによって、包丁の使い方や切り方も変わってくるものです。
自分の頭で考え「周囲を動かす」技術
「クリティカルシンキングをすること」は目的ではありません。そして、クリティカルシンキングは、それを覚えると、自動販売機にコインを入れたように「正解」が出てくるというようなツールでもありません。
実際に自分が目指したいものがあって、それを実現するために課題を解決しなければならない。自分も含め多くの人々を巻き込んで説得しなければならない。
もちろん、無駄に時間を使いたくないし、アタマの整理ができていなかったり、ちゃんと本質をつかむことができないことで途方にくれることもしたくない。そのために、つねに砥石で「自分の考える力の基礎力=包丁」を磨いておく必要がある。
一方で、実際には、具体的な場面場面に応じて、自分がどんな包丁さばきをするのがいいかを立体的に考えながら「包丁」を使わなければ、目指す美味しい料理はつくれないわけです。この勘所は、実践の経験を蓄積することによってつかんでいくしかありません。
論理思考やフレームワークなども、本来はツールにすぎないのですが、それを使うこと自体が目的になってしまうことがあります。いろいろ分析して、「で、何のためにやってたんだっけ?」となってしまう。
何のために「自分の頭で考える」のか? 何のために「周りを動かす」のか?
机上の空論ではなく、自分の目指すものに向かって実践的に何を決め、どう周りを動かしていくのか? を考え抜かなければなりません。
つまり実践型クリティカルシンキングとは、「目指すもの」を達成するために、「自分の頭」で考え、行動し、「周りを動かす」ための実践的な思考技術なのです。
「目指すもの」を達成するために、クリティカルシンキングを使う。手段と目的を混同しないようにしましょう。
「クリティカルシンキング」とは? 変化の時代に身に着けるメリット - PHPオンライン衆知
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