新型コロナウイルス感染拡大が続くさなかの夏。“感染者は多いが重症化率は低い”とされてきた第7波にも変化が見え始めていた。8月8日時点で2床だった重症病床を、6床まで増やした東京医科歯科大学病院の植木穣病院長補佐に話を聞いた。
重症病床 ほぼ満床
これまでの感染の波と比べて、第七波の特徴とは?
東京医科歯科大病院・植木病院長補佐:第7波は特徴的な状況だと思っていまして、まず単純に陽性になる人が非常に多い。一方、重症化率が低いと言われていて、実際、患者の数は、多くなってきていますけれども、重症化する人の数は、まだ少ない水準で進んでいます。ただ、若干、最近、「重症化の傾向」も見られます。また、感染する年齢層が上がってきていて、このまま、その”特徴”が継続するのかというのは、微妙なところかと思います。
東京医科歯科大病院では、8月19日時点で、6床に増床した重症病床は、ほぼ満床の状態が続き、24床ある中等症の病床も満床だという。
「重症化しにくい」に変化が
「重症化の傾向」とは?
東京医科歯科大病院・植木病院長補佐:(東京医科歯科大病院に対する)受け入れ要請の電話内容などを見ますと、7月末ごろから、酸素需要の多い人、重症と中等症の中間ぐらいということになるかと思いますが、そういった人からの依頼が多くなってきています。また、中等症で入院した患者さんが、調子が悪くなって、重症の方の病棟に移動するといったことは、第7波を迎えた当初は、ほとんど存在しなかったんですが、7月下旬からそういった例も散見されるようになってきました。
病院内では、これまでも、同居家族以外との会食を避けるなど、厳格なルールを適用してきた。しかし、第7波になり、医療関係者の家庭内感染が増え、常に数十人の職員が休まざるを得ない状況だという。
職員の休務による影響は?
東京医科歯科大病院・植木病院長補佐:職員がおよそ2700人いるので割合としては少ないですが、セクションによっては特別な仕事をしている人もいますので、そういった中で感染者が出てしまうと、急にやりにくくなってしまいます。また、実は、コロナ患者を一人診るのは、普通の病棟で一人の患者を診るのとは、労力が違ってきますので、単純に一対一で変換できない部分があります。なかなかの重労働になりますので、多くの人を一般診療から引き抜いてきて、コロナ診療に当てなければならず、そのあたりが結構、実は、大変なところです。
「5類よりも、まずは感染者数を抑えて」
こうした中で、政府に求めることとは?
東京医科歯科大病院・植木病院長補佐:2類から5類といった話もありますけれども、それよりも今はとにかく感染者数を減らすことを優先してやるしかないと思っています。我々、医療者というのは、基本的には与えられた場所と、与えられた環境で、粛々と頑張るしかないという考え方でやっていますが、日本の感染者数が世界一だ、なんていうニュースが飛びかかってくると、少なからず不安にはなります。感染者の数をまず抑える。そうすることで重症化する人の数も抑えられるでしょう。まずは、数を単純にとにかく減らしてほしいというのが願いです。
植木病院長補佐は「経済との兼ね合いがある中で、何かを制限するということを医療者側から言うことはできないが、可能な範囲で皆さんに気をつけていただけたら」と訴えた。一人一人が少しずつ感染対策を積み重ねることが、常に走り続ける医療現場の負担を抑える、重要な手立てとなる。
(フジテレビ社会部・市原璃音)
「重症化しにくい」に変化が “第7波”直撃 コロナ医療現場の切実な“声”を聞け 「5類よりも、まずは感染者数を抑えて」|FNNプライムオンライン - FNNプライムオンライン
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