「第31回 全日本アートサロン絵画大賞展」(産経新聞社など主催、サクラクレパスなど共催)への出展作品の製作を始めた。まずは「マグマ大使」の物語を描いた下絵が出来上がった。ここから下塗り-本塗り-仕上げとなる。いよいよクレパス画のさまざまな技法を駆使していく。その前に先生が〝秘策〟を伝授してくれた。それは、楽しい「コラージュ」だったのです。
あえて下手に描く指導を仰ぐ田伏勉先生によれば、自宅に飾る絵は自分が見て満足すればよく、展覧会に出展する絵は他人に見てもらうことが第一。「求めるものが違う」という。簡単なようで難しい。
「人はじっと見てくれへんからね。見ているときはあら探し。『この絵のどこがええねん』という目で見てる」
先生の大作でも、見てくれる人で長くて2分。大半はチラリで終わりという。
「押しつけがましいのもようないし、アピールせん絵もアカン。上手に描くと絵は止まってしまう。上手に描けるけど下手に描いてます-という感じや」
素人によう、そんな難しいことを…。すると、先生はアピールの〝秘策〟を教えてくれた。
「絵の一部を色紙を使って貼り絵にするのもおもしろいよ。新聞紙を切って貼るのもよくある。これらの手法をコラージュという」
コラージュねぇ、なるほど、それはおもしろそうだ。実はウルトラマンの顔の色を塗るのに何色を使うか悩んでいた。クレパスにも「銀色」はあるが塗ると「灰色」に見えしまう。それなら、銀紙を貼ろう!
そしてビルの壁には新聞紙を貼ることにした。それも今の新聞ではなく、マグマ大使たちが活躍した当時の新聞記事の切り抜き。そこは新聞社、古い記事のコピーは簡単だ。
逆さに貼る昭和39年、東京五輪でバレー女子が金メダル。41年のビートルズ来日。44年の東大・安田講堂騒動、アポロ11号の月面着陸成功。49年の巨人・長嶋茂雄引退-。早速、集めた資料をビルの形に合わせて切ろうとしたとき、先生の注意が飛んだ。
「記事はまっすぐ貼ったらアカンよ。逆さにしたり斜めに切って貼って」
なぜ、まっすぐがダメなんだろう。
「見た人が記事を読んで絵を見なくなるから。日本の絵にはよく英字新聞を貼った絵があるが、あれは記事を読ませないようにするための工夫なんだよ」
へぇ-、と納得。
懐かしの糊さて、一方の銀紙。100円ショップで探すと、和紙のように繊維の入ったもの、金属感のあるツルツルしたもの、裏が赤になった千代紙のようなもの-と3種類あった。繊維の入った紙は手でちぎれず、ツルツル紙も違和感あり。千代紙が意外な効果をみせた。
ちぎると紙の端にうっすらと裏の赤がうつり、貼ると銀のうろこのような趣が出たのだ。ちなみに貼るのに使った糊(のり)はでんぷん糊のブランド「フエキ糊」。黄色のプラスチックの壺に入っており、蓋を開けると小学生のころ嗅いだあの懐かしい匂い。
先生によると「フエキ糊が一番、紙のつきがいい」という。
ペタペタ貼ること1時間。遠くから見ると、ウルトラマンの顔がキラキラと光っているではないか。ビルの壁にも趣が…。
コラージュ、大満足!
ルンルン気分でウルトラマンの目に黄色を塗る。
「なんか、楽しそうやねぇ」
受講仲間のレディーたちがまた近づいてきた。(田所龍一)
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創業100年「大人」向けも今年創業100年を迎えたサクラクレパス(大阪市中央区)は、クレパスやクーピーなどの革新的な画材を生み出し、日本の美術教育を支えてきた。一方で、近年は大人のための筆記用具の商品開発にも力を入れている。
同社は平成27年から、大人のための筆記具を開発する「サクラクラフトラボ」プロジェクトをスタート。ブランドの象徴であるサクラのデザインを天冠やボディにしのばせたボールーペンなど、「大人の感性を刺激する」商品開発を目指している。
今年2月には100周年を記念したボールペン「サクラクラフトラボ 001S」(1万1000円)を発売した。金属の削り出しで、素材は真鍮もしくは洋白を使用。子供のころから親しんできた画材とはまた違う表情が楽しめるという。
銀紙、新聞…コラージュ技法でクレパス作品に変化 - 産経ニュース
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