アニメイト開店当初は「本当に客が来なかった」 池袋が“乙女ロード”になるまでの軌跡
「当時はお店も狭く、取り扱っている商品も現在とはかなり違っていました。下敷き、ポスター、缶ペンケース、ステッカー、バインダーなどの文具が多く、他にはラミネートカードなども販売しておりました」(アニメイト広報・出藤耶子さん/以下同)
「お客様が単純にお買い物をする場所から、アニメや漫画の作品世界を体感できる場所も作りたいと思い始めました。そういったイベントやオンリーショップを始めてからは地方や海外からもお客様がいらっしゃるようになり、店内もよりにぎわうようになりました」
グッズストアでアニメの世界観が楽しめるといった体験は、国内外のアニメファンに大きなインパクトをもたらした。これにより徐々に来客層は広がり、池袋がアニメや漫画の聖地として認知されるようになった。アニメグッズを“買う”だけでなく、“体験する”という消費行動を見出したことは、のちの推し文化に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。
推し活を“外”へ広げた『カフェ』の功績「買う」→「体験」+「交流」+「見せる」
「ネットでなんでも買える時代ですが、体験を提供する場を作ることで、お店に行く楽しさ、新しい作品を見つける楽しさなども提供できたのではないかと考えております。アニメイトカフェを利用するついでにアニメイト店舗にもお越しいただき、実際にグッズを手に取って、見て、お買い物を楽しんでいただけている印象です」
いまやアニメや漫画の“コンセプトカフェ”は全国的に定番となったが、『アニメイトカフェ』のオープンと同時期に流行したのが、「痛バッグ」だ。自分の推し作品の世界観が詰まった空間に行くからには、推しキャラの缶バッジやキーホルダーを大量に付けた「痛バッグ」を持参するというファンが多かったためだ。
「以前から日常でも下敷きや缶ペンケースなどのアニメグッズを“使う”という文化はありましたが、’10年前後にかけて『痛バッグ』など、アニメグッズを“見せる”文化も広がっていきました。それにあわせて、トレーディングアイテム(缶バッジ・ストラップなど)もかなり増えていった印象があります」
街中の景観にアニメや漫画の世界が入り込み、それまで家でアニメグッズを楽しんでいた人も、普段から推しを堂々と“身につける”文化も定着したのだ。
二次元・三次元でも「アクスタ完売」続出なぜ? フィギュアからトレンド移行した背景
「アクスタをカバンや携帯のストラップとして身につけて、推しをさりげなくアピールしていたものに加え、一緒におでかけをして写真を撮るという文化もでてきたことで、より需要が高まったと思います」
SNS上では、“推し”のアクリルスタンドをカフェや野外、テーマパークなどに連れていき、遠近法で2ショットのような写真を上げている投稿が多数見られる。“推し”とあらば、あらゆるバリエーションを揃えたくなるところだが、アクスタは小さなスペースに多数飾れて、比較的安価。写真より丈夫でフィギュアより手軽、太陽光や雨での劣化もしにくい。
「フィギュアなどに比べると持ち運びがしやすいことに加え、デスクや棚に飾ったり、ケースに入れてキーホルダーにしたり、たくさん集めて痛バッグを作ったりと、様々な楽しみ方があるというのが利点となっているのではないかと考えております」
コロナ禍でリアルイベントでの収益化が難しくなり、グッズの強化をした運営側の都合や、これまでの定番グッズのフィギュアやぬいぐるみ、抱き枕などに比べて、写真をアクリルにプリントするだけというメーカー側の手軽さもありそうだ。
「アニメイトの1号店となるアニメイト池袋店が誕生してから40年を迎え、アニメ・漫画文化は男性・女性問わず幅広い年代のお客様や、海外からのお客様にもお楽しみいただけるような文化になってまいりました。その中で『推し』という表現が出て来たり、好きなものを“自分だけで楽しむ”だけでなく、“一緒に共有”したり、“自分の好きを発信する”に時代を経て変化してきていると思います。今後も『アニメイトに行けば欲しいものがある』というお客様の期待を裏切らないとともに、お客様に新たな発見も提供できる場所になっていければと思います」
アニメイト40周年の軌跡から辿る“推し活”の変化 グッズ消費は「買う」から「見せる」へ - ORICON NEWS
Read More
No comments:
Post a Comment