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Saturday, December 3, 2022

2023年、クラブの安全性はどう変化するか? - Time Out Tokyo

2022年現在、真の安全性が保証されているとは言い切れない状況下で、日本国内のクラブはどういった取り組みを行っているのだろうか。

さかのぼること3年前の2019年5月、都内のクラブで起きたセクハラ被害を訴えるSNS投稿を機に、「クラブと音楽を誰もが楽しむために、クラブ内におけるアンチハラスメントのステイトメントを表明・提示することを求める」署名がスタートした。

change.org

change.orgより

署名を通してクラブ運営者やオーガナイザーに求められたのは「あらゆる性別や人種、セクシュアリティーや身体的特徴にかかわらず、全ての人が安全かつ尊重されるべき」というステイトメントの表明。そして表明そのものを来場者へ周知させることだ。

署名サイト「Change.org」では、キャンペーンの開始から1日足らずで500人の署名が集まり、2〜3日ほどで1500人以上の賛同を得た。2019年以前からステイトメントを提示していたクラブは存在していたが、この署名活動をきっかけに、都内で何カ所かのクラブがアンチハラスメントの意思を示している。

渋谷のclubasiaも、この署名活動をきっかけに対応改善を行ったヴェニューの一つ。加えて自発的に新たな取り組みも行っている。2022年9月、clubasiaではステイトメントの掲示に加え、LINE経由でスタッフとのコミュニケーションが取れる機能「HELPボタン」をローンチした。

clubasia

Photo: clubasia

このHELPボタンは、ハラスメント対応だけに特化したものではなく「トイレの紙がない」「酒をこぼしてしまった」「ロッカーのコインが詰まった」など、とにかく来場者の身に困ったことがあれば発動できる。

clubasia

clubasiaの公式LINEの画面。HELPボタンをタップし、自動返信に従って位置情報を伝えるとスタッフが対応に訪れる

clubasia店長である鈴木将は、このサービスを始めた経緯について次のように語る。

2019年以降、ステイトメントの掲示は続けていたんです。でも、clubasiaに限らず、クラブ業界全体でハラスメントの被害報告が断続的に続いているのも見ていました。昨今のSNSでもその現状を目の当たりにしたことをきっかけに、クラブとして何かもう一手、改善につながる一歩を踏み込めないかを検討することになりました。

「ハラスメントが自分の身に起きた時に知らせられるアプリがあればいいのにね」

ある時、Twitterでそんな投稿を見かけました。加えて当時、Twitterのスペース機能を利用して開催されたオンラインディスカッション「クラブセクハラ報告会」でもリアルな声を聞くことができたんです。(鈴木/clubasia)

クラブ側には「知らせるハードルを下げ」「事態を把握しやすく」「スピード感を持って対応できる」ことが求められていると感じた鈴木。clubasia自体のキャパシティーや運用のスムーズさを加味し、「HELPボタン」というスタイルに至ったという。

このアイデアが形になるきっかけとなったツイートを投稿したのは、都内でDJとして活動するmoemiki。彼女はクラブ内でのハラスメント被害をきっかけに、防止対策を積極的に呼びかける。

「HELPボタン」のアイデアのきっかけとなったmoemikiのツイート

moemikiはクラブ環境の現状、そして自身の経験をもとに「声の上げやすさ」をクラブ環境に求める。

moemiki

moemiki

被害に遭った時、声を上げていいのかとためらうなど、自分の被害を矮小(わいしょう)化してしまうことは少なくない気がします。

とりわけクラブという空間では「周囲のテンションを下げてしまう」「誘ってくれた人に申し訳ない」「せっかく今楽しんでいるんだから我慢した方が楽」など、と(考える必要はないのですが!)つい考えてしまって、心理的なハードルが高いと感じます。

clubasiaのHELPボタンをはじめ、機械的に声をスタッフに伝えられるシステムや、「AVYSS Circle」の「トラブルがあれば手首にネオンリングを付けたスタッフまで」という呼びかけは非常に心強い。どんどん広まるとうれしいです。(moemiki)

ただ「声の上げやすさ」を求めるだけでは、根本的な「被害をなくすこと」につながらない。彼女は同時に「加害が発生した時の対応策がより具体化されていくこと」を期待する。

踊りながら割り込んだり「あの人知り合い?」と声をかけたり、フロアにいる我々ができる手助けと、そのベストプラクティスは自分自身も模索中なんです。それを皆で共有できるといいな、とは思います。

一部の機転の利く人のフォローだけではやはり不十分。「このような時はこうする」というマニュアル的なものが、クラブスタッフだけではなくクラブで遊ぶ人たち皆で共有できるようになれば良いと思います。

初めて行ったクラブが安心して楽しめる場所だったからこそ、私は今もクラブへ通えているのだと思います。まだクラブへ行ったことのない人にとっても、さらに門戸が広がればうれしいです。(moemiki)

clubasiaがHELPボタンの運営をスタートさせてから約3カ月が経過しようとする現在。ほかのクラブでも同様の試みが見られるようになり、普及の兆しが見えている。鈴木はクラブの運営側として、今後「起きていることを誤魔化さず、目を背けずに認めること」が重要であると述べる。

「ハラスメントが起きていることを認めること」が理解につながり、未来へ向かうスタートラインに立てると考えます。同時に、10年前の考え、5年前、1年前、はたまた数カ月、数週間、数日前の考えですら、「今」を考える上でのアップデートを遅らせてしまいます。

ましてや経験価値が日々変化するクラブの中ではなおさら。価値観を変化することを恐れず、多くの人にとって居心地の良い空間が作れるよう、成長を続けられればと思います。(鈴木/clubasia)

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