新型コロナ感染者の全数把握が見直されることになり、これからは健康状態を自己管理する一層の自覚が必要となります。コロナに負けない体づくりをどう進めていくか。アクティブシニア層にアンケートしたところ、コロナ禍での体調変化や今後の健康管理・体作りへの取り組み方などが、男性と女性で、かなり違っていることが見えてきました。
朝日新聞Reライフプロジェクトのコミュニティー「読者会議」メンバーを対象にした「コロナ後」の健康管理に関するアンケート(回答者数768人)を男女別、年齢階層別に集計し、(1)コロナ禍で感じた体調や環境の変化(2)今後、健康維持のために取り組みたいこと(3)とくに詳しく知りたい情報の分野などを比べてみました。
■ 女性に目立つ「人との関わり」の薄れ、不眠、意欲の減退
2年半に及ぶコロナ禍での体調や環境の変化にからみ、男女で大きな差が現れたのが「人との関わり」や「心のケア」に関連する項目です。選択肢から「人と関わりたいと、あまり思わなくなった」を選んだ人は、女性が25.2%だったのに対し男性は13.9%、「おしゃべりをしなくなった」も女性は26.9%、男性は16.6%と、いずれも10ポイントを超す差が生じていました。
同様に「意欲がわかなくなった」(女性18.8%、男性13.2%)、「よく眠れなくなった」(女性18.3%、男性13.6%)も、女性の回答比率は男性を上回り、それぞれ5ポイント前後の差がつきました。一方、回答率が上位3項目(足腰が弱くなった、体重が増えた、疲れやすくなった)については、足腰の衰えは男性が、体重増加と疲れやすさは女性のほうが回答比率が高かったものの、男女の差はそれほどではありませんでした。
男女別の回答をさらに年齢層別に分割してみると、男女全体の比較では、一見、似たような傾向に思えたものでも、項目ごとに年齢層による特徴や違いがみえてきます。
たとえば「人と関わりたいと、あまり思わなくなった」を選択している人は、女性の中でも45ー54歳や55-64歳の年齢層で突出して多く、ほぼ3人に1人の割合に達していました。これに対し「おしゃべりをしなくなった」を多く選んだのは、女性の55-64歳、65-74歳、75歳以上で、年齢層が上の人たちでした。一方、男性はというと、どちらの項目でも目だった反応はなく、全体での回答割合を上回る年齢層はひとつもありませんでした。
もともと女性は男性よりもコミュニケーションが好きで、分けへだてなく、おしゃべりを楽しむとされています。その分、コロナ禍の外出自粛の長期化は、女性に対してより強いインパクトを与える形になったといえるかもしれません。
■ 「免疫力」「疲れにくさ」「心のケア」、男女で10ポイント差
では、コロナ禍の体調変化などを踏まえて、今後、意識して取り組みたいのはどんなことか。選択肢のなかから選んでもらった(複数回答)ところ、女性がとくに関心を示したのが「免疫力を高めたい」(女性59.3%、男性47.1%)、「疲れにくい体にしたい」(女性35.5%、男性24.6%)、「心の不調をなくしたい(心のケア)」(女性16.1%、男性8.7%)の3項目で、男女で10ポイント前後の差がつく形になっていました。
この3項目について年齢層別の内訳をみると、「免疫力の強化」は55歳以上の女性の選択比率が高いのが特徴で、とくに75歳以上の年齢層では約7割、10人に7人が選択していました。これに対し「疲れにくい体にする」は45歳から74歳までの計3階層で、「心のケア」は45歳から64歳までの2階層で、取り組みたい目標として選択する人が多く、アクティブシニアのなかでも、比較的若い世代で関心が高いことがうかがえます。
一方、この3項目に関して男性は、女性ほどには興味を示さず、45歳以上のすべての年齢階層で、全回答者の選択割合を下回る形になっていました。また、男性のほうが関心が高いのは、「足腰を鍛え直したい」(男性42.2%、女性39.1%)、「心肺の機能を高めたい」(男性15.6%、女性13.3%)、「動脈硬化や高血圧を抑えたい」(男性9.7%、女性7.2%)など、加齢に伴い機能が衰えたり老化による症状が進行したりするものが多く、男女差もそれほど大きくないのが特徴でした。
■ 知識習得への熱意、男性よりも女性が強め
健康管理に役立つ知識習得への熱意も、女性のほうが強めです。選択肢のなかから最も多く選ばれた「免疫力と運動や食事の関係」(女性58.7%、男性50.4%)をはじめ、「筋肉の働きと鍛え方」(女性49.0%、男性37.2%)、「アンチエイジングの栄養素・お勧め食材」(女性38.2%、男性29.3%)などでは、女性が男性をそれぞれ10ポイント前後上回っていて、体そのものの仕組みや健康・食事との関係などについて、積極的に学んでいきたいという姿勢がうかがえます。
男女別・年齢層別で回答をみると、とくに75歳以上の女性の熱心さが目につきます。「アンチエイジング」を除くすべての項目で全回答者層の選択比率を上回っていました。一方、男性は75歳以上の年齢層で全回答者より高めの項目がいくつか目につくものの、総じて関心は低めです。とくに定年の区切りを迎える60歳前後の世代(55-64歳)は、すべての項目で全回答者の選択比率を下回る形となりました。
健康維持に向けた運動やトレーニングについても、この55-64歳層は取り組み度合いが他の年齢層よりも低い傾向が現れています(詳細は「55~64歳の「定年」目前世代、「忙しくて」運動しない派が増加」をご覧ください)。「忙しくて時間がとれない」「始めるきっかけが見つからなかった」などが理由として挙げられており、定年という人生の変わり目の忙しさに流されてしまわないよう、気をつける必要がありそうです。
■ 行動様式で分類した4タイプの関心事項は?
最後に、健康維持への考え方や行動様式をもとに、回答者を四つのタイプに分類し、傾向の違いを探ってみました。
タイプ分けに用いた設問はふたつ。健康管理のため「新しい運動や食事にも積極的にチャレンジしたい」か、「いままでの生活習慣や暮らしをなるべく生かしたい」か。もうひとつの軸は、自分自身の行動様式が「なにはともあれ、やってみる」行動派か、「まずは下調べから入る」慎重派か。それぞれ自分がどちらに近いかを選んでもらいました。
「新しいものにも挑戦(チャレンジ)か、従来の生活習慣(トラディショナル)重視か」「行動派か、慎重派か」。この組み合わせで実際の回答を4分類してみると「トラディショナル&慎重派」が最も多く、全体の約3分の1。これに「チャレンジ&行動派」「トラディショナル&行動派」が続き、最も少ないグループが「チャレンジ&慎重派」でした。
このグループごとに、「健康な体づくりのために取り組みたいこと」について各項目の男女別の回答割合をまとめたのが、下記の表です。
大枠でみると、女性・男性とも、「チャレンジ派」の2グループのほうが、「免疫力強化」や「足腰の鍛え直し」「老化防止(アンチエイジング)」というトップ3項目での関心度が高くなる傾向にありました。一方で、「疲れにくい体にする」「体の柔軟性を高める」の2項目は、「行動派」に属する2グループで総じて関心度が高めです。
また「心の不調をなくしたい」では、「チャレンジ&行動派」と「トラディショナル&慎重派」という、一見、健康への向き合い方も行動様式も対極にある2グループで、男性・女性それぞれの傾向値が似る形になりました。「動脈硬化や高血圧を抑えたい」「もの忘れを改善させたい」という項目では、「チャレンジ&慎重派」の男性の関心度が高い形になっていました。
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調査は朝日新聞Reライフプロジェクトの会員制コミュニティー「読者会議」メンバーを対象に2022年5月17日~6月16日に実施。有効回答は768人(男性52.5%、女性47.0%、その他0.5%)。年代別は、49歳以下8.5%、50代23.7%、60代34.8%、70代25.5%、80代以上7.6%。
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男女で違う コロナ禍の体調変化、健康のため取り組みたいこと - 朝日新聞デジタル
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