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Tuesday, August 30, 2022

夏井いつき氏、俳句はコトバの化学変化 広告コピーとの違いは? - 日経ビジネスオンライン

人気バラエティー番組「プレバト!!」(TBS系)でおなじみの俳人、夏井いつき氏。厳しくも愛にあふれるコトバで俳句を指導する姿が実に魅力的だ。そんな夏井氏と、2022年6月24日に『長いコトバは嫌われる』(日経BP)を出版した横田伊佐男氏の対談が実現。短いコトバで表現するという共通点を持つ俳句とコピーライティングだが、意外な違いが浮き彫りになった。また横田氏が生まれて初めて紡いだ苦心の一句を夏井氏はどう評価したのだろうか?

夏井いつき氏(プロフィルは記事末参照、対談はオンラインで実施しました。写真=後藤さくら)

夏井いつき氏(プロフィルは記事末参照、対談はオンラインで実施しました。写真=後藤さくら)

横田伊佐男氏(以下、横田):「プレバト!!」を拝見させていただいて、夏井先生が俳句を添削される技術にいつも感心させられています。お聞きしたかったのは、梅沢富美男さんのような名人クラスと初心者では、添削アドバイスの「質」が違うように感じます。あれは、意識的に変えられているのですか?

夏井いつき氏(以下、夏井):はい、もちろんです。現在、平場(一般レベル)が4人、名人・特待生レベルが3人の構成が多いです。平場の方々に対しては一人ひとりに難しいことを言うのではなく、4人全体の添削を通じて1つの学びが得られるように工夫しています。

横田:名人クラスになると、辛口度も増して、個別アドバイス色が強いですね。

夏井:俳句の場合、答えが1つではなく、多様な答えがある世界です。例えば、名人クラスになると、梅沢のおっちゃん(梅沢富美男氏)と志らくさん(立川志らく氏)では目指すものはまったく違います。

 東さん(東国原英夫氏)は、理論的に自分の句を分析することにたけていますし、村上さん(お笑いコンビ「フルーツポンチ」の村上健志氏)は、自分の想いを表現することを大切にされている。それぞれが何を目指しているのか、を把握して添削をしています。

横田:一人ひとりの目指すものを把握しての添削だと、大変ではないですか?

夏井:共通して一番大事なのは、作者の言いたいことは何か? その想いと作品の間に溝がないのかを気付かせてあげることです。このコトバをあてがうことで、言いたいことと違っちゃったよね、と教えてあげることなんです。

 その意味で、横田さんのご著書タイトルにある「長いコトバ」は、まさに言いたいことが分からなくなってしまう要因ですよね。コトバが長ければ、枝葉が増えて言いたいことが分からなくなっちゃいますから。自分が何を表現したいのか、という「短いコトバ」が核にあることが重要だと思います。

横田:私も受講生のコピーを添削するとき、「言いたいことの“幹”は何で、言わなくてもいい“枝葉”がどれか」を気付かせることが多いのですが、同じことですか?

夏井:まったくその通りですね。俳句とコピーで違いがあるとすれば、俳句の場合は17音という「器」があるか、ないかだけではないでしょうか。

コピーライティングでは「言いたいことの“幹”は何かをしっかり考えることが大切」と話す、横田氏(写真=稲垣純也)

コピーライティングでは「言いたいことの“幹”は何かをしっかり考えることが大切」と話す、横田氏(写真=稲垣純也)

『長いコトバは嫌われる メモ1枚! 人生を変える最強の伝え方』(横田伊佐男著、日経BP)

『長いコトバは嫌われる メモ1枚! 人生を変える最強の伝え方』(横田伊佐男著、日経BP)

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