丈夫で軽いプラスチック製品は、捨てなければ一生ものになり得る。見立てを変えれば、傷や汚れは経年変化として楽しむこともできる。プラスチック製品の価値を再定義する、新プロジェクトが進行中だ。
プラスチック製品を使い捨てず、経年変化を楽しむ──そんな新しい発想で、プラスチックの価値を再定義していく動きがある。プラスチックのロングライフデザインを考え、発信していく新たなプロジェクト「Long Life Plastic Project」(以下、プラスチックプロジェクト)だ。2021年12月、D&DEPARTMENT PROJECT(東京・世田谷)のナガオカケンメイ氏が立ち上げたプロジェクトで、使い捨てでもなく、リサイクルでもアップサイクルでもない、一生もののプラスチックを提案していくという。その第1弾として、プラスチックメーカーのサナダ精工(大阪府千早赤阪村)と共に、プラスチック製のオリジナルマグカップ「プラスチックマグカップ」を開発。4色展開で各200個、合計800個を限定で販売している。
価格は4950円(税込み、以下同)。購入者だけが参加できるコミュニティーも発足し、現在122人が参加している(22年3月11日時点)。LINEのオープンチャットを活用し、交流が始まっている。今後、プラスチック業界関係者との勉強会やイベントなども開催していく予定だ。
プラスチックプロジェクトは「Plastic Products can be lifelong companions if you care for them.(プラスチック製品であっても、一生モノになり得ます。あなたが大切にすればね。)」というメッセージを掲げている。プラスチック製品を使い捨てするのか、大切に使い続けるのか。その基準は価格なのか。時間やストーリーなのか。それを決めるのは自分自身であるという本質に立ち返り、各自がプラスチックの価値について考え、見直していく。そんな思いがメッセージには込められている。プロジェクトを企画したナガオカケンメイ氏は「オリジナルのマグカップは、プラスチックについて考えるシンボルにしていきたい」と話す。
プラスチックプロジェクトは、20年1月10日から2月16日まで、金沢市で開催された展覧会「nagaoka kenmei plastics」が発端だ。ナガオカ氏はD&DEPARTMENT PROJECTを立ち上げる前から「傷が付いていたり、紫外線などで色が変わったりした、古いプラスチック製品が生理的に好きだった」と言う。かつて、プラスチックは軽くて丈夫な画期的な素材だったが、近年は脱プラスチックの動きが加速し、風当たりは強い。そうした状況の中、nagaoka kenmei plasticsでは、ナガオカ氏がこれまで集めてきた経年変化したプラスチックを展示・販売した。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
プラ製品は悪なのか? 使い捨てず、経年変化を楽しむものづくり - 日経クロストレンド
Read More
No comments:
Post a Comment