日本銀行の中村豊明審議委員は９日、金融政策運営について「引き続き感染症の影響をはじめとする状況変化を注視し、適切な措置を講じていきたい」と述べた上で、２％の物価安定目標の実現に向けて現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける考えを示した。オンライン形式での山梨県金融経済懇談会で講演した。
日本経済はオミクロン株の感染拡大による「下押し圧力が懸念される」としながらも、持ち直しが明確化していると指摘。物価動向に関しては川上から川下に向かって値上げが広がりつつあるとし、「価格転嫁が想定以上に進む可能性がある」との見方を示した。価格設定行動の積極化は「日本経済の新たな成長軌道へのシフトと物価安定目標の実現に関わる重要な要素だ」とも語った。
中村氏は、世界的に取り組みが進むデジタル化や気候変動対応などの分野で日本が力を発揮するためには「担い手となるスタートアップの成長が極めて重要だ」と主張した。日銀による粘り強い金融緩和が下支えになり、「企業と人による活発なイノベーションが日本経済の潜在成長率を高め、２％の物価目標の実現に近づいていく」ことへの期待を表明した。
米欧の主要中央銀行はインフレ高進に対応するため金融緩和政策からの転換に乗り出しており、市場では日銀による政策修正観測が高まっている。黒田東彦総裁は２％の物価安定目標の達成が展望できない中での金融政策の正常化や政策修正の可能性を繰り返し否定しており、中村氏の見解にも関心が集まっていた。
他の発言
- 初回の気候変動オペで２兆円超供給、金融機関の対応は相応に進展
- 中国経済、ゼロコロナ政策の下での感染拡大が世界経済下押しや供給制約・物価上昇の長期化につながるリスク
(詳細を追加して更新しました)
状況変化に適切対応、物価２％目標実現へ緩和継続－中村日銀委員 - ブルームバーグ
Read More
No comments:
Post a Comment