新型コロナウイルスの流行「第五波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノム(全遺伝情報)の変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を国立遺伝学研究所と新潟大のチームがまとめた。
八月下旬のピーク前にはほとんどのウイルスが酵素の変化したタイプに置き換わっていた。このウイルスではゲノム全体に変異が蓄積しており、同研究所の井ノ上逸朗教授は「修復が追いつかず死滅していったのではないか」と指摘する。
研究は十月に開かれた日本人類遺伝学会で発表した。
この酵素は「nsp14」。ウイルスは増殖する際にゲノムを複製するが時々ミスが起きて変異が生じる。変異が積み重なるとやがて増殖できなくなるが、nsp14が修復すれば防げる。
チームは、国立感染症研究所が公開する国内で検出した新型コロナのゲノムデータを分析。第五波では、nsp14に関わる遺伝子が変化したウイルスの割合が感染拡大とともに増え、ピークの前から収束までの間は、感染者のほぼ全てを占めていた。昨秋から今年三月ごろまでの「第三波」でも同様の傾向が確認できた。
nsp14の遺伝子が変化したウイルスでは、ゲノ...
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デルタ株、酵素変化で死滅? 「第5波」収束の一因か - 中日新聞
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