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Monday, October 4, 2021

変化した岸田首相 我慢乗り越え独自色発揮なるか - 産経ニュース

首相指名選挙で投票にのぞむ自民党・岸田文雄総裁=4日午後、国会・衆院本会議場(三尾郁恵撮影)
首相指名選挙で投票にのぞむ自民党・岸田文雄総裁=4日午後、国会・衆院本会議場(三尾郁恵撮影)

第100代首相に就任した岸田文雄首相は、安倍晋三政権で外相、政調会長と要職を務めながら、後継争いでは菅義偉前首相に敗れる屈辱を味わった。宰相の座は勝ち取ったが、国民の認知度は低く、党内基盤も弱い。衆院選の「31日投開票」を電光石火のごとく決断したが、今後いかにリーダーシップを発揮できるかが焦点になる。

「国難を前に大きな責任を感じている」。首相は就任直前、周囲にこう語り、自らを奮い立たせていた。祖父も父も衆院議員という政治家一家で育ち、平成24年に党内最古の宏池会(岸田派)を継承したが、政治家人生は我慢の連続だった。

連続在任で戦後最長の4年7カ月にわたり外相を務め、「ポスト安倍」に浮上した。しかし、目立つことは少なく、期待をかけた安倍氏は「情念が足りない」として昨年の総裁選で菅氏を支援。大敗し、中枢から遠ざけられた。

陣頭指揮をとった4月の地元・参院広島選挙区再選挙に敗れ、「総裁を目指さなければこれほど批判されることもなかったのかもしれない」と漏らしたこともあった。だが、思いはくすぶり続けていた。

「やるときにはやらなければならない」

7月の時点でこう決意していた首相は8月26日、総裁選への出馬をいち早く表明した。岸田派では「現職首相と戦って敗れれば、政治的に終わりかねない」との声もあったが、新型コロナウイルス対策の説明不足などで内閣支持率が低迷する中、「逃げる理由はない」と耳を貸さなかった。

再チャレンジを図る上で徹底したのは自己改革だった。「発信力に欠ける」との声を意識し、国民の声を書きとめた「岸田ノート」の存在を明かし内面をさらけ出した。演説も「一文ごとを短く区切るスタイル」へと変化。発声は力強さが増し、闘志を前面に出す姿に安倍氏も「たくましくなった」と高く評価した。

領袖(りょうしゅう)を務める岸田派(46人)は第5派閥で、政権運営では安倍氏が影響力を持つ最大勢力の細田派(清和政策研究会、96人)などの協力が不可欠になる。とはいえ、首相周辺は独り立ちへの布石を打った人事だと解説する。副総理兼財務相として長く安倍氏と菅氏を支えた麻生太郎元首相を党副総裁にスライドさせ、細田派からは安倍氏と比較的距離がある議員を任命していることも理由に挙げた。

「若い頃は織田信長、豊臣秀吉が好きだった。年を取るにしたがって徳川家康の生き方に共感を覚える」

首相はかつてこう語っていた。信長、秀吉のもとで忍耐を強いられた後、天下人として260年余りにわたる江戸幕府の礎を築いた家康に倣(なら)い、長期政権に意欲を示しているようにも見える。(永原慎吾)

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