アメリカ軍司令官のトップが1日、アフガニスタンを掌握した武装勢力タリバンは「冷酷な組織」で、今後変化するかどうかは分からないと述べた。
マーク・ミリー統合参謀本部議長は一方で、将来的な対テロ作戦でタリバンと協力することは「あり得る」と指摘した。
アメリカ軍は8月31日にアフガニスタンから完全に撤退した。20年前にタリバン政権を排除するために始めた侵攻は、アメリカ史上最長の戦争となった。
アフガニスタンでは現在、タリバンが権力を握り、間もなく新政権樹立が宣言される見込み。タリバン高官は、女性には政府内の高い地位を与えないと話している。
国防長官も撤退後初の会見
駐留部隊の突然の撤退については、ジョー・バイデン大統領に批判が集まっている。
撤退により、アメリカ軍が長年にわたって訓練・支援してきたアフガニスタン政府軍は予想に反して崩壊。タリバンが急速にアフガニスタン全土を制圧したため、在留外国人や、駐留部隊のために働いていたアフガニスタン人が避難のためカブール空港に殺到するなどした。
アメリカは8月末までの避難計画で12万3000人超を出国させたが、なお100~200人のアメリカ人が同国に残っているとみている。
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ミリー議長とロイド・オースティン国防長官はこの日、記者会見に臨み、撤退後初めて公の場で発言。駐留部隊と大規模な避難計画を称賛した。
避難する人たちの誘導でタリバンと協力したことについてオースティン長官は、「我々はタリバンとほんのわずかな問題について協力した。できるだけ多くの人を集めるためで、それだけだ」と説明した。
「戦時には、やりたいことではなく、作戦と部隊のリスクを下げるためにすべきことをするものだ」とミリー議長も付け加えた。
「責任取らせるため手段を選ばない」
ミリー議長はまた、過激派勢力「イスラム国(IS)」系組織「IS-K」への対処について、タリバンと協力することも可能だと述べた。
「IS-K」とは、過激派「イスラム国(IS)」系の地元組織「ISKP(イスラム国ホラサン州)」の別称。8月26日にカブール空港近郊で起きた自爆攻撃について犯行声明を出している。この攻撃では米兵13人を含む170人近くが殺害された。
IS-Kは、アフガニスタン国内のジハーディスト(イスラム教聖戦主義者)組織の中で最も過激で暴力的だとされる。タリバンがジハードと戦場を捨てたと批判しており、両者は敵対関係にある。
オースティン長官は、タリバンとの協力について「予測はしたくない」と述べた上で、「我々が引き続き(IS-K対策に)集中し、そのネットワークを理解し、我々の決めたタイミングでその責任を取らせるためには手段を選ばない」と述べた。
タリバンは新政権樹立へ、女性は低い地位に
タリバンは外国軍の撤退を祝い、現在は政権樹立に集中している。
カタールの政治事務所副代表を務めるシェール・アッバス・スタネクザイ氏はBBCパシュトー語に対し、2日以内に新政権を発表すると述べた。
取材の中で同氏は、政府では低い地位に女性を起用することはあるが、トップ人事には含めないと述べた。
また、過去20年間にアフガニスタン政府で働いていた人たちも除外するとしている。
<解説>リーズ・ドゥセット国際報道主任特派員
アフガニスタンの近隣国は、「インクルーシブ(包括性)」という魔法の言葉を使ってタリバンに圧力をかけ、タリバンに権力を分散させ、絶対的な権力を持たせまいとしている。
しかし、純粋に政治的な観点から見てみてほしい。タリバンは、自身の予想すら裏切る速さでアフガニスタンを掌握した。その結果、イスラム的政治体制を樹立するという最優先課題を追求する圧倒的な権限を得たと感じている。
この新しいイスラムの首長国では、女性は男性よりも劣った役割を担うことになる。
こうした方針は、タリバンがアフガニスタン政府や市民社会の代表と協議を始めた2年前と比べても、すでに大きく変わっている。タリバンは当時、新しいイスラム的政府では女性は大統領と首相を除くあらゆる地位に就けると話していた。閣僚や、企業の経営者になれると。
だが、過去の出来事が歴史になった今、タリバンは2年前の主張から後退しているようだ。タリバンによる新しい時代が始まろうとしている。
米軍司令官、「冷酷な」タリバンが変化するかは不明と - BBCニュース
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