当時のテスラは、生産増強に向けた出費がかさみ、多額の損失を計上している状況だった。2017年時点での営業キャッシュフローは6100万ドルのマイナス。これに投資キャッシュフローを含めたフリーキャッシュフローはマイナス34億ドルに達していた。
2017年初頭の時点でテスラは、34億ドルの現金を保有する一方で、102億ドルの債務を抱えていた。つまり、キャッシュポジションは差し引き68億ドルのマイナスだった。
それから4年が経ち、テスラの財務状況は大幅に改善した。2020年には営業キャッシュフローが59億4000万ドルのプラス。ここから31億6000万ドルの設備投資分を差し引いたフリーキャッシュフローも27億8000万ドルのプラスを計上した。
さらに2021年に入ると、上半期だけで営業キャッシュフローは37億7000万ドルに達した。前年同期の5億2400万ドルと比較すると飛躍的な増加だ。設備投資は、2020年上半期の10億ドルから、2021年同期には28億5000万ドルに増えたとはいえ、2020年上半期のフリーキャッシュフローは4億7700万ドルのマイナス、2021年上半期のフリーキャッシュフローは9億2000万ドルのプラスとなっている。
2021年6月末の時点で、テスラが保有する現金は162億ドル、債務は80億ドルで、ネットキャッシュポジションは82億ドルのプラスだ。つまり、これまでの4年間で、同社のネットキャッシュポジションは、マイナス68億ドルからプラス82億ドルへと、150億ドルのジャンプアップを遂げたことになる。
もう1つ指摘しておくべきは、テスラの株式時価総額が、社債を発行した2017年の時点では600億ドルに満たなかったのに対し、現在は7000億ドルに達している点だ。
社債の繰上償還で、年間1億ドル近くの支出を削減
冒頭で触れた18億ドルの社債の金利支払いで、テスラは毎年9540万ドルの出費を余儀なくされていた。そこで同社は、額面価格の102.65%、金額にして4770万ドル分のプレミアムを支払ってまで、この社債の繰上償還に踏み切った。本来の償還期限までの4年間、金利として毎年9540万ドル、合計3億8160万ドルを支払い続けることに比較すれば、プレミアムを支払っても、トータルでは3億3390万ドルの支出削減効果が得られる計算だ。
社債の繰上償還には、もう一つのメリットがある。仮にテスラが再び社債の発行を決めた場合、2017年の年率5.3%よりは低い金利を設定できると見込まれる点だ。2021年3月にムーディーズがテスラの債券格付けを引き上げたことも、ここではプラスに働いている。
財務面で大きな変化、テスラが18億ドルの社債の繰上償還を決定 - Forbes JAPAN
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