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Saturday, June 26, 2021

Windows 11のアプリ配信の仕組みから、マイクロソフトの「大きな変化」が見えてくる - WIRED.jp

競争市場で闘う戦士、マイクロソフトをご紹介しよう。

こんな表現をする日が訪れるとは、20年前に誰が予想しただろうか。ところが、6月24日(米国時間)に開催されたマイクロソフトの「Windows 11」発表イヴェントでは、少なくともソフトウェアの配信に関しては、同社が自らを「反アップル」に位置づけたいと考えていることが明らかになった。規制当局がアップルの「App Store」とグーグルの「Google Play」の手数料と反競争的な商慣行を精査している時期に、Windowsの次期ヴァージョンでアプリストアの仕組みに注目すべき変更が加えられたのである。

2021年の年末商戦までにPC向けにリリースされる予定の新しいWindows 11では、Windows PCでグーグルのAndroidアプリが動作するようになる。これまでもエミュレーターソフトを使えば技術的には可能だったが、Windows 11では標準機能として簡単に利用できるようになるわけだ。

また、マイクロソフトの最高製品責任者(CPO)のパノス・パネイによると、マイクロソフトは開発者が独自の決済プラットフォームを利用して顧客に課金することを許可し、開発者がアプリの収益を100%確保できるようにするという。この点も、アップルが定めたApp Storeのポリシーとはまったく対照的である。

これまでアップルは開発者に同社の決済技術の導入を求め、アプリから発生するあらゆる収益の30%をアップルが徴収すると長らく主張してきた。この課金を巡る争いで、アップルと人気ゲーム「フォートナイト」の開発元であるエピックゲームズとの間に法廷闘争が起こり、今年は注目されている。

Windowsは1985年に最初にリリースされて以来、数十回ものヴァージョンアップを重ねてきた。なかでも最新の「Windows 10X」はハイブリッドコンピューティングデヴァイス向けにWindows 10を改良したヴァージョンになる予定だったが、先月になってマイクロソフトは計画を見送っている。

そしていま、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けてPCの売上が回復している時期に、マイクロソフトは再びPCに焦点を絞るようになった。2021年第1四半期には世界で7,000万台近くのPCが出荷され、PC業界では過去2年で最も急速な前年比成長となっている。

「パンデミックの期間を通して、わたしたちは生活においてさまざまな方法でPCを適応させようとしていたことに気づきました。そして、その状況がある意味ひっくり返り、わたしたちはしばらくPCに生活を適応させる必要がありました」と、パネイは説明する。「このためPCは親しみやすく魅力を感じるような存在である必要があり、それ自体を脱して最高のコンピューティング環境の提供を試みる必要があります」

ヴィジュアル面での変更も目白押し

Windows 11の変更点はアプリストアだけではない。新たに画面下の中央に配置されたタスクバーや、アプリの四隅がやや丸みを帯びた半透明なウィンドウなど、さまざまなヴィジュアル面での変更が施される。

マイクロソフトはいつものように、何よりも生産性を強調した。例えば、ウィンドウを半透明にしたのは、ユーザーが最前面に表示したアプリの背後で開いているウィンドウを確認し、より効率的にタスクを切り替えられるようにする狙いがある。評判の悪い「スタート」ボタンは画面の左側ではなく、下部中央に配置されることになる。

このスタートボタンをタップすると、Windowsウィジェットのパネル(パネイは「ガラスシート」と表現する)が起動して左側に表示される。既存のマルチウィンドウ機能を拡張した新しい「スナップレイアウト」では、ユーザーは任意のウィンドウの配置を作成し、そのスナップショットをタスクバーに保存できる。マイクロソフトがZoomに対抗するツール「Microsoft Teams」は、デスクトップUIに直に組み込まれる。

これに対してガートナーのリサーチディレクターの北川美佳子は、「今回の発表では、あっと言わせるものは何もなかったと思います」と語る。「アイコンの中央への配置は、スタートボタンが左下にあることに慣れてしまっていることを考えると、いいアイデアかどうかはわかりません。それに半透明のウィンドウは、生産性にどれだけ重要なのかわかりません。見た目はいいのですが、ユーザーはあまり気にしないのではないでしょうか」

その他の実質的なアップデートはゲーム機能に関係するもので、Xboxプラットフォームの影響を大きく受けている。Windows 11が動作する一部のPCは「Auto HDR」機能に対応し、利用可能な場合はゲームのグラフィックがより鮮やかなコントラストに切り替わる。

また「Direct Storage」と呼ばれる機能では、ゲームのアセットをPCのグラフィックスカードにあらかじめ読み込ませ、より高速なレンダリングを実現する。ただし、この機能は適切なドライヴァーと一定のストレージ容量を備えたPCでのみ動作する。

Androidアプリが利用可能に

新OSでは視覚的なアップデートが期待されるものだが、Windows 11の最大のニュースは、Windows PC上でどのようにアプリが動作するかだろう。この変更は象徴的な面が多いかもしれないが、それでも最近のデヴァイスやソフトウェアのリリースでマイクロソフトが強調してきた「オープン性」を目指すという比較的新しい同社の精神を表している。

Windows 11では、AndroidアプリがWindowsで使いやすくなる。これはマイクロソフトのマシンでTikTokやInstagramなどの人気モバイルアプリを、生産性向上ツールと融合させる試みのひとつだ(マイクロソフトは過去に、人気のあるコンシューマー向けアプリのWindowsへの導入に苦労してきた)。

ただし、オープンソースのAndroidフォーク上で動作する「Amazon アプリストア」からAndroidアプリをダウンロードする必要があるので、まだ少し回りくどい。マイクロソフトがグーグルに対して、Windows 11でグーグルの「Google Play」を動作させられるよう打診したかどうかについては、パネイは回答を避けている。

このプロセスでは、通常はARMアーキテクチャー向けに構築されているモバイルアプリをPC上でエミュレートさせるので、インテルの技術「Intel Bridge Technology」に依存することにもなる。そして、どのx86チップがこのテクノロジーに対応するかは不明だ。

独自決済を許可することの意味

それでは、Android以外の端末でエミュレーターを介してAndroidアプリをすでに実行できるなら、何か違いはあるのだろうか? パネイによると、Windowsにさらに統合されたユーザーエクスペリエンスが得られるという。

例えば、Androidアプリをダウンロードすると、「スタートボタンを押したときにおすすめアプリに表示されます」と、パネイは言う。そのアプリをタスクバーに固定することもできる。それを適切に「ウィンドウ」できる(マイクロソフトの世界では「ウィンドウ」という単語は動詞だ)。だが、リリースは2021年後半の予定なので、まだやるべきことがたくさんあるのだと、パネイは言う。

Windows 11ユーザーにとってこのAndroidのニュースは興味深いものだが、開発者にとっては決済関連のニュースがさらに興味深い。マイクロソフトはすでに、アプリの配布において“最も友好的”な取引をアプリメーカーに提供している。ほとんどのアプリの売上から15%を徴収するというもので、先月にはゲームアプリに対する手数料を12%に引き下げたばかりだ。

アプリメーカーに独自の決済処理を許可することで、マイクロソフトはアップルやグーグルに利用条件を改善するようさらに圧力をかけ、その過程で開発者を自社プラットフォームに引き込むことができる。

パネイはこれを高尚な考え方であると説明する。「(重要なことは)開発者のビジネス構築を支援することです。Windowsの歴史にはビジネス構築の支援が含まれています。世界最大のビジネスのいくつかが(Windows上で)構築されました。わたしたちはそのことをとても誇りに思っています」

過去最大のアップデート

主にデスクトップに焦点を当てたWindowsのアプリストアは、モバイルOSである「iOS」のApp StoreやGoogle Playストアとは多くの点で異なる(Androidアプリが統合されることを考えると、その違いは小さくなるかもしれない)。パネイは、Windowsのアプリストアがアップルやグーグルのアプリストアと比べるとかなり規模が小さいことを認めた上で、同社の最も重要で最大の収益源である製品はいまも「Microsoft 365」であることも認めている。

これはPCの黎明期から続く奇妙なストーリー展開とも言えるだろう。当時のアップルは“邪悪な支配者”から逃れようとしていたクリエイターを支援する存在で、マイクロソフトといえば堅苦しい企業向けソフトのメーカーか傲慢な独占企業といったイメージだった。

そしていま、アップルはApp Storeで反競争的な行為があったとして、連邦反トラスト法(独占禁止法)に基づく調査対象になっている。マイクロソフトは自らを小規模なアプリメーカーの擁護者と位置づけている。この点が、過去最大の“アップデート”かもしれない。

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