桑原紀彦
児童生徒の自殺予防に関する文部科学省の有識者会議が25日開かれ、自殺した児童生徒が2020年に過去最多となった背景について、コロナ禍による家庭・学校の環境変化が影響した可能性がある、などとする報告書案を了承した。小中学生に1人1台配布される情報端末を、子どもの変化の早期発見に活用するよう提言した。
文科省や厚生労働省によると、20年の小中高生の自殺者数は前年から25%増え499人(確定値)で、統計の残る1980年以降では最多。このうち、女子は219人で66%増となった。原因は、進路に関する悩み(55人)、学業不振(52人)、親子関係の不和(42人)の順に多かった。
報告書案は背景について、コロナ禍で在宅機会の増えた親がストレスを抱えて子どもに干渉や叱責(しっせき)を加えるなどし、家庭に居場所がない子をさらに息苦しくさせた可能性を指摘した。学校でも長期休業や行事の中止・延期、感染防止のための「ソーシャルディスタンス」で休み時間のおしゃべりなども失われ、子どもを「支える場所」が大きく変化した、とも言及した。
そのうえで、自殺予防の施策として、国の「GIGAスクール構想」で配られた情報端末の活用を提言。SNSでの相談体制の充実や、子どもの気持ちの変化をとらえるアプリの開発導入などを通じて、心身の変化を捉えることが容易になる、としている。
文科省は近く報告書をとりまとめ、これらの内容に取り組むよう全国の教育委員会などに通知する。(桑原紀彦)
子どもの自殺急増 コロナ下の家庭・学校の変化影響か - 朝日新聞デジタル
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