来年1月以降に予定されている食品の値上げは1596品目(11月末時点)で、前年の同時期と比べ約2割にとどまる。ただ、春以降は人件費や円安による紙パックなど包装資材費の上昇で、値上げの動きが再燃する可能性もある。(並木智子)
◆原材料高から資材高、賃上げなど「理由」幅広く
帝国データバンクによると、1月の値上げは274品目と小幅だが、2月は1000品目を超えているほか、今月になって4月以降の値上げを発表する企業も増えている。
これまでは原材料価格の上昇を転嫁しようとするメーカーが目立ったが、来年値上げを予定するカゴメやキユーピーは原材料だけでなく、プラスチックや段ボールなど資材費の上昇も値上げの理由に挙げる。
サービス価格の上昇も続く。佐川急便は2年連続で宅配便を値上げ。賃上げやエネルギー価格の高騰、省人化の設備投資を要因とし、担当者は今後も「経済状況などを考慮し、運賃の見直しを検討する」。
こうした動きは来年も広がりそうで、伊藤忠総研の中浜萌氏は「原材料高による値上げが一巡し、中身が人件費の割合が高いサービスへと変わってくる」とみている。
◆カニやイクラが狙い目!? だて巻きや練り物は価格アップ
年の瀬が迫り、おせち料理など年末年始の食材が気になる時期となってきたが、今年も多くの値上げが相次ぎ年末の食卓を直撃しそうだ。ただ、水産物を中心に昨年よりも価格が下がり、買いやすくなっているものも。狙い目の食材は・・・。
「今年のカニの相場は昨年より30%ほど安くなっている」。イオンリテールのの松本金蔵水産商品部長はそう話す。前年は高値で引き合いが弱かった反動から、今年は卸価格が下がった。都内の水産卸売業者らによると、イクラも昨年の在庫が残っていることもあり、例年より2割ほど安いという。マグロも供給量が潤沢で価格が安定している。
一方で、値上げとなる商品も多い。
おせちに欠かせないだて巻きや練り物は原材料高などで価格が上昇。ローソンストア100は、恒例の「100円おせち」で初めて一部商品を150円に値上げする。だて巻きやだし巻き卵は鳥インフルエンザによる鶏卵価格の上昇が影響し、栗きんとんは中国産のクリの不作が響いた。広報担当者は「従来の価格では物足りない内容量になってしまう」と理解を求める。
東京・日本橋で水産練り製品を手掛ける老舗「神茂」は、12月下旬から販売するかまぼこなど正月商品の一部を1割程度値上げする。原材料の魚のすり身が、中国などで需要が高まり価格が上昇しているという。
野菜も例年12月下旬になると、年末年始に市場が休みとなることもあり、価格が上昇する傾向に。ただ、農林水産省によると、今年は雑煮などで使われるにんじんやさといも、だいこんは平年より高値で推移するが出荷数量は安定している。供給量不足による高騰の可能性は低そうだ。
節約アドバイザーの丸山晴美さんは、冷凍可能な肉類など冷暗所で日持ちするものは早めに購入することを勧める。昆布やノリなど乾物も「安いものから売れやすい。早めに適正な価格で買うのがコツ」とアドバイスする。
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