阪神桐敷拓馬投手(24)の飛躍の1年は「アジア1」で締めくくられた。

「本当にうれしかった。これでシーズンが終わる形ですけど、本当に今年の最初では想像できなかった後半戦だった。大事なのはこれから。来年が大事だと、より一層感じました」。

初の侍ジャパン選出となった「アジアプロ野球チャンピオンシップ」。1次ラウンド初戦の16日台湾戦では1点リードの8回を1三振の3人斬り。決勝の19日韓国戦でも同点の8回を1安打無失点で流れを渡さなかった。「8回の男」として大会連覇に貢献した。

今季の当初、阪神では先発として稼働。そこから7月に中継ぎに転向すると、25登板で14ホールドをマーク。初経験となる連投もこなすなど「適応力」が光った1年となった。

侍ジャパンでもきっちり変化に対応した。今大会で使用されたボールはシーズン中とは異なり、黒土でこねられたようなものだった。投手陣からは「指にかかりやすい」、「引っかかりやすくなる」などシーズン中とは違うという感想が飛び出していた。桐敷は10日から宮崎キャンプに合流したが、日本シリーズで3試合に登板したことも考慮され、キャンプ中の実戦登板はなし。投手陣では唯一だった。大会まで6日間、ブルペン投球のみで、きっちりと仕上げた。

「シーズンとはボールが違うので、多少滑る感じはある。余計にロジンとか、いつも以上に練り込ませて、よかったので。試合とかは、そういう風にやっていこうと思っています」

2度目に入ったブルペンでは牧、佐藤輝も打席に迎えて投球。対打者の感覚をイメージした。牧は「シーズン中もすごい球放ってますけど。本当に投げミスがないというか。嫌なコースに投げてくるピッチャーだなと思いました」。セ・リーグのライバル球団の主砲も認める「スペードのエース」だ。

今オフは疲労を取り、ウエートトレーニングなどで「1年間やり切れる体」を目指す。

「シーズン中も頑張って、井端さんのもとでもう1回やりたいなという思いがあります」。

来年24年には第3回プレミア12も開催される。進化した姿で、井端監督との再会を目指す。【阪神担当 波部俊之介】

11月13日、ブルペンで桐敷の投球する打席に立ち、笑顔を見せる佐藤輝(左)。捕手は坂倉
11月13日、ブルペンで桐敷の投球する打席に立ち、笑顔を見せる佐藤輝(左)。捕手は坂倉
11月13日、ブルペンで投球する桐敷を見つめる牧(左)と佐藤輝
11月13日、ブルペンで投球する桐敷を見つめる牧(左)と佐藤輝