ナメコのおいしさの決め手とは、いったい――? 長野県塩尻市の県林業総合センターと須坂市の県農村工業研究所のグループが、「日本で一番おいしいナメコ」をめざして、味の数値化による栽培技術の開発に取り組んでいます。国内各地の山林で採集したナメコの味を客観的に「見える化」し、栽培効率も見極めた上で新たな品種開発につなげる狙いです。(朝日新聞・安田琢典)
35年以上にわたって国内各地の山林を歩き、様々なキノコを採集してきた同センター特産部の増野和彦技師にとって、ぬめりがあって、うまみとコクに富むナメコは大好物だそうです。
産地間競争の激化などで市場価格が低迷傾向にあるナメコの価値を高めようと、「日本で一番おいしいナメコ」を栽培する技術の開発に取りかかったのは2016年度のことでした。
「日本一を掲げるのであれば、多くの人が納得できるよう、おいしさを客観的に表現しなければならない」と感じた増野さんは、農村工業研究所が持つ検査機器に活路を見いだすことにしました。
アミノ酸が生み出すうまみと、口の中でうまみが持続されることで生じるコクがおいしさにつながります。
一方で、テルペン類と呼ばれる物質がもたらす苦み、カテキンやタンニンが元になる渋みは、ナメコのおいしさを邪魔してしまうそうです。
検査機器でこれらを含む5項目を数値化することで、おいしさを客観的に評価できると考えました。
天然物のナメコは、産地によって味や収穫に適したサイズに成長するまでの時間が異なります。
そこで増野さんは、北海道島牧村や青森県むつ市、宮崎県五ケ瀬町など11道県の16地区に自ら足を運び、計80種類のナメコを採集。
そこから種菌を取り出し、人工培養したナメコの味を数値化するとともに、培養から収穫までの時間を調べました。
その結果、80種類のうち、石川県白山市で採集したナメコなど5種類が「おいしさ」で優れていると分析されました。
さらに白山市のナメコは収穫までの時間が最も短いと判明。この種類を元においしいナメコを開発することになりました。
現在は、さらにおいしいナメコをめざして、キノコを育てる菌床の下地に使う素材の改良を重ねています。
また、ナメコは収穫した直後よりも、2週間ほど冷蔵保存したほうがうまみが増し、過度な水洗いをすると苦みや雑味が増すそうです。
こうした特徴を考慮しながら、最もおいしく食べられる保存方法も探っています。
長野県はナメコの生産量が全国トップであるものの、中小規模の生産者も少なくありません。
増野さんは「どこよりもおいしいナメコを栽培する技術が確立できれば、確実に生産者の増収につながります」と話します。
「メイド・イン・ナガノの究極ナメコで生産者に勝負してもらえるよう舞台を整えたいです」
ナメコの味、水洗いするとどう変化? おいしさの理由を「見える化」 - withnews
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