Lucitong: 習主席の中国中銀幹部刷新大きな変化よりも継続性の優先を示唆

中国の習近平国家主席がベテランのテクノクラートを中国人民銀行（中央銀行）の共産党委員会書記に昇格させたことは、世界２番目の経済規模を持つ同国が勢いを取り戻すのに苦労する中で、政策当局が当面は劇的な変化を避ける姿勢を示唆している。

Key Speakers at the Lujiazui Forum — 潘功勝氏

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

　　人民銀副総裁の潘功勝氏が７月１日に人民銀の党委書記に任命されたことは、同中銀の方針維持を示しており、利下げを控えめに行い、銀行に的を絞った融資増額を促すという最近のアプローチに沿う。

　　経済の失速がデータが示され続けており、政府はここ数週間に刺激策の拡大を求める声に直面している。

　　ギャブカル・ドラゴノミクスの中国リサーチ担当副ディレクター、クリストファー・ベダー氏は、「指導部が今回の指名で継続性を選んでいることは十分明らかだ」と指摘。指導部と人民銀は潘氏が国内外の投資家に高く評価されていることをよく認識しており、その事実を時折利用してきたと付け加えた。

　　潘氏（59）は中国の商業銀行の経営トップを務めたほか、米ハーバード大学と英ケンブリッジ大学での研究経験もある。個人消費や不動産などの低迷長期化懸念が高まるなか、中国経済を新型コロナウイルス禍後の低迷から脱出させるかじ取りを託される。

　　同氏の昇進は、イエレン米財務長官の６－９日の訪中を前に決定されたもので、外国からの投資拡大を目指す中国の外交の新たな試みの一環とみられる。

　　ユーラシア・グループのアナリストらはリポートで、「中国経済の回復の弱さと地政学的緊張の悪化が、潘氏の昇格を急がせたようだ。潘氏は規制改革と監督を推進し、他の中国中銀関係者に比べ、国際的な知見と人脈を持つ」と分析した。

People's Bank Of China Governor Yi Gang Speaks At The Peterson Institute — 易綱人民銀総裁

Photographer: Samuel Corum/ Bloomberg

　　ただ、習氏が金融システムの監督機関の上層部を刷新する中、今回の人事でも人民銀の役割を巡る重要な疑問は答えが出ていない。潘氏は昨年、10年に２度実施される指導部交代で共産党中央委員会に加わることができなかった。

　　郭樹清氏は１日に人民銀の党委書記を退き、易綱人民銀総裁は党委副書記の職務を外れた。

　　米紙ウォールストリート・ジャーナルは、潘氏が総裁職も引き継ぎ、１人の人物が人民銀総裁職と党委書記の両方を担うというここ数十年慣例的だった体制に戻ることになると先に報じている。

　　アブソリュート・ストラテジー・リサーチの新興市場エコノミスト、アダム・ウルフ氏は、「潘氏の党内での地位が比較的弱いため、最高レベルでの経済分野の意思決定において人民銀の影響力が弱まる可能性がある」と予想。「もちろん、そのレベルのシステムは本質的にブラックボックスであるため、潘氏が中央委に入っていないことがどれほど問題になるかは不明だ」と付け加えた。