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Thursday, June 15, 2023

日経平均連日上昇でも中身が違う変化の兆候をつかむには - トウシル

※今回は前回の続編として「業績が良くないのに株価上昇、なぜ?(2)」をお伝えすることになっていましたが、足元のマーケット環境につきよりタイムリーな内容を取り上げた方が良いと思いましたので、内容を変更してお伝えします。

参考記事:業績が良くないのに株価上昇、なぜ?(1)需給の影響を知る

引き続き強い動きの日経平均株価

 日経平均株価は引き続き強い動きをキープしています。6月7日には3万2,708円53銭まで上昇、翌8日には一時3万1,420円45銭まで下がったものの9日はすぐ切り返して600円超の上昇となるなど、「いったいどこまで上がるのか?」という感じで推移しています。

 4月以降外国人投資家が一貫して日本株を買い越しており、これが日経平均株価の大きな上昇の要因と言えましょう。

 なぜ外国人投資家が大量に日本株を買っているかは不明ですが、30年間続いたデフレから脱却し健全なインフレ状態に日本経済が戻ることへの期待から先回りして日本株を買っているのかもしれません。

 しかし、多くの個人投資家の方が感じていたと思いますが、5月は日経平均株価が大きく上昇したにもかかわらず、個別銘柄はイマイチで、なかなか利益に結び付かなかったというのが本音ではないでしょうか。

6月以降、日本株の状況が変化したことに気づけましたか?

 実際、日経平均株価が上昇しているにもかかわらず年初来安値更新銘柄数がかなりの高水準になっています。特に5月31日は年初来安値更新銘柄がおよそ160銘柄と、日経平均株価の上昇とは裏腹に、株価が下げ続けている個別銘柄が数多くありました。

 ところが6月に入り、その状況が大きく変化したことに皆さんは気づかれましたでしょうか。筆者は変化の兆候を感じた6月1日から5日までの3営業日で大きく買いポジションを増やしました。「今までの日経平均株価だけ強かった状況とは明らかに違う」と感じたからです。

筆者が日本株の変化に気付いたポイント

 では筆者はどのような点から、6月以降の変化を感じたのか、それをご説明していきたいと思います。

 筆者は5月末の時点では、下降トレンドの弱い銘柄もかなりあったので、上昇トレンド銘柄を買い持ちし、下降トレンド銘柄を空売りする、いわゆる「ロング・ショート戦略」を実行していました。

 ところが6月に入り、買い持ちしている銘柄の一部が大きく上昇しただけでなく、空売りしていた弱い銘柄が軒並み上昇に転じました。これは5月中にはあまり感じなかったことです。

 そして、筆者が日々チェックしているある指標・数値にも明確な変化が表れました。

 一つは、25日移動平均線を上回っている銘柄と下回っている銘柄の数です。

 筆者は25日移動平均線を上回っていれば上昇トレンド、下回っていれば下降トレンドと判断していますが、5月26日時点では25日移動平均線を上回っている銘柄が1,569、下回っている銘柄が2,183と、日経平均株価が上昇しているにもかかわらず、個別銘柄の過半数は25日移動平均線を下回っていたのです。

 一方6月9日時点では、25日移動平均線を上回っている銘柄が2,005、下回っている銘柄が1,725となっていて、25日移動平均線を上回っている銘柄数が明らかに増え、下回っている銘柄数が大きく減少していることが分かります。

 筆者は投資候補銘柄の株価チャートを日々ウオッチしているので、6月に入ってから「上がるものが増え、下がるものが減った」と感じていましたが、上記の数値の変化はそれを裏付けるものとなりました。

明らかに5月末と異なっていた6月初めのある指標とは?

 もう一つは年初来高値更新銘柄と年初来安値更新銘柄の数です。通常、年初来高値更新銘柄数の方が多ければ強気相場、年初来安値更新銘柄数の方が多ければ弱気相場というように筆者は判断しています。

 しかし、5月中旬以降、年初来安値更新銘柄は増加傾向にあります。5月31日の年初来高値更新銘柄は約40、年初来安値更新銘柄は約160と、圧倒的に安値更新銘柄の方が多かったのです。日経平均株価が25日移動平均線を大きく上回って上昇トレンドにある中、ボロボロの動きの個別銘柄も多数あったのです。

 それが6月5日には、年初来安値更新銘柄は3まで減少しました。ここまで減少したのは実におよそ1カ月ぶりのことです。一方で年初来高値更新銘柄は240に達し、明らかに5月とは異なる動きとなりました。

ポジティブな変化の兆候を感じたら、ひとまず攻めてみては?

 このように、年初来安値更新銘柄数の変化をたどるだけでも、6月5日には明確な変化を感じることができました。そしてその後は多くの銘柄が上昇し、5月とは異なり利益を得やすい環境となっています。

 もしポジティブな変化の兆候を感じとったならば、その流れがしばらく続くことを期待して、攻めの姿勢で臨んでみてはいかがでしょうか。動くなら早い方がまだ株価が大きく上昇する前なのでリスク面から有利ですし、すぐに株価がしぼんでしまったなら速やかに損切りすれば大きな損失とはならないはずです。

 6月に入ってからの変化にうまく対応できなかったという方が多いと思いますが、様子見を続けているだけでは、上昇相場に乗り遅れてしまいます。

 ポジティブな変化を感じたら、リスクを取って攻めてみることが大きな利益につながると筆者は感じます。

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