「『強さ』から『賢さ』へ」――。五月人形のトレンドにはそんな変化があるらしい。
東京・日本橋の人形工房「ふらここ」が昨年11月~今年1月にかけ、五月人形を購入した客へのアンケートを分析したところ、そんな傾向が明らかになった。
同社では「すくすく健やかに、素直にまっすぐ」「強くたくましく、新しいことに挑戦する子に」など、親が子に託す願いを八つ定め、それぞれをテーマにした五月人形を制作している。
今シーズン、最も多くの客が選んだのは「物事のことわりを大切にする、聡明(そうめい)な子に」という願いだった。
「新型コロナ、ウクライナ情勢など変化の激しい時代、物事の本質を客観的な視点から探究できる賢い子に育ってほしい、という気持ちが強くなっているのでは」。原英洋社長(60)は分析する。
人形師の3代目だが、「現代のニーズに合った人形を」と独立して創業し、15年になる。
「強さから賢さ」の傾向は昨シーズン以前から見られたため、今シーズンは「賢さ」の象徴として、帳面と筆を持った五月人形を新発売したところ、とても好評だったという。
変化の背景には、選ぶ人の中心が祖父母から「30代前後の母親」に移ったこともある。
商品開発を手がけた担当者は、「強く勇ましく育ってほしいという願いよりも、明るく優しく、周りと協力できる人に育ってほしいという傾向があるように感じます」。
この変化は赤ちゃんの名付けにも感じるといい、毎年発表される名付けランキングを人形制作の参考にしている。
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