雪の結晶には多種多様な構造が存在しており、アート作品のような美しい構造の結晶も存在しています。ニューサウスウェールズ大学の研究チームは、液体金属を用いて雪の結晶に似た構造を作り出すことに成功しました。液体金属の結晶は見た目が美しいだけでなく、半導体生産や水素生成の触媒として役立つ可能性があるとのことです。
Liquid metal synthesis solvents for metallic crystals | Science
https://doi.org/10.1126/science.abm2731
I’m dreaming of a zinc Christmas?! Intricate ‘snowflakes’ created in liquid metal | UNSW Newsroom
https://newsroom.unsw.edu.au/news/science-tech/i%E2%80%99m-dreaming-zinc-christmas-intricate-%E2%80%98snowflakes%E2%80%99-created-liquid-metal
以下の写真は、液体金属(ガリウム)の中で生成された亜鉛の結晶です。研究チームは液体金属に亜鉛を溶解し、亜鉛の濃度や結晶を成長させる時間、温度、圧力を調整することで雪の結晶に似た構造の金属結晶を作り出すことに成功しました。
亜鉛の結晶には多種多様な構造が存在し、成長時間によって構造が変化します。以下の画像は、1日かけて成長させた亜鉛の結晶です。
そして、以下の画像は10日かけて成長させた亜鉛の結晶です。
また、結晶は亜鉛以外の物質でも作成可能です。以下の画像の左側は液体金属にニッケルを溶解して作成した結晶で、右側はビスマスを溶解して作成した結晶です。液体金属に溶解する物質を変化させることで、多種多様な構造の結晶を作成できます。
研究チームの一員であるKourosh Kalantar-Zadeh教授は「今回の発見は液体金属を用いた結晶成長の理解を深め、結晶を抽出するための現実的な方法を示しました」「液体金属を用いた結晶成長は金属のナノ構造の新たな道筋を提供し、複雑な構造パターンの作成に寄与します」と述べています。また、同じく研究チームの一員であるJianbo Tang氏によると、特定の構造の金属結晶を作成することで触媒の開発や半導体の生産に役立つ可能性があるとのことです。
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