陸上の最高峰リーグ、ダイヤモンドリーグ(DL)で、女子やり投げの北口榛花(JAL)が9月のファイナル(スイス・チューリヒ)に出場する。今季はDLで日本勢初優勝を飾り、7月の世界選手権では女子投擲(とうてき)種目で日本勢初の表彰台に立った。東京五輪からの1年間で周囲の変化を感じながら、着実に成長を続けている。
10日にモナコで行われたDLの第10戦。北口は4投目に62メートル37を記録。優勝したケルシーリー・バーバー(オーストラリア)には2メートル強及ばずDL3勝目は逃したものの、上位6人しか進出できないDLファイナルへ、全体トップの成績でコマを進めることになった。さらなる戴冠への期待も高まる。
66メートル00の日本記録を持つ24歳。昨夏の東京五輪では女子やり投げの日本選手として57年ぶりに決勝の舞台に立ち、今年6月にはDLで日本勢初優勝を果たした。7月の世界選手権では銅メダルを獲得。この1年で起きた3つの変化が、好成績につながってきた。
1つ目は、2019年から師事するチェコ人のセケラク・コーチとの関係だ。体力面や技術面、さらには精神面においても厳しい指導で知られる師とは、「東京五輪まではコーチが言うことが結構『絶対』だった」。ただ、結果も出るようになってきたことで、北口の意見にも徐々に耳を傾けてくれるようになったという。「東京五輪後は自分の体のことなども聞いてくれるようになった。本来あるべき関係性になってきた」。年月をかけて信頼関係は確実に深まった。
2つ目は、新型コロナウイルスを取り巻く環境だ。近年は渡航が難しい状況が続き、日本で1人練習する時間も多かったが、渡航制限が徐々に緩和されると、コーチと一緒に練習できる時間が増えた。東京五輪後はチェコを訪れる機会をつくって直接指導を受け、「トレーニングの間も見ていて励ましてくれるので、ベストが出せたりにつながっていると思う」。力強い後押しを受けて、好結果につなげてきた。
3つ目は、周囲の見る目。世界の舞台で結果を出したことで必然的に注目は高まり、7月の世界選手権では「選手村で、やり投げ関係の選手は必ずあいさつしてくれた」。ただ、世界で認められてもおごらないところが強さの源でもある。DLの優勝も「そんなにはしゃぐような喜びはなかった。なにもすごいことをしていない」といい、「自分の競技人生は長いと信じてゆっくりステップアップしていきたい」と謙虚に話す。
入賞を目指していた世界選手権で表彰台に上がり、DLファイナルだけでなく、来年ブダペストで行われる世界選手権や2年後のパリ五輪では投擲のエースとして期待が膨らむ。「次はメダルを狙ってメダルを取ることを目標に頑張る。最終的には一番いい色のメダルを取れるようにやっていきたい」。進化の足は止まらない。(運動部 小川寛太)
やり投げの北口、好調を支える3つの変化 パリ五輪へ「最終的に一番いい色のメダルに」 - 産経ニュース
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