2017年夏の選手権大会で埼玉県勢初の全国制覇を成し遂げた花咲徳栄。埼玉大会の準決勝で浦和学院に敗れ、3年ぶりの全国大会出場を逃した。
花咲徳栄のエース右腕・金子翔柾(3年)は、春の選抜大会4強で春の関東大会を制した浦和学院に立ち向かった。
三回裏に先制を許したが、直後の四回表に自らの適時打などで3点を挙げて逆転。投げてはスライダーなどの変化球が要所でさえ、五回を終えて7奪三振の好投を見せた。
だが後半、浦和学院の「超攻撃型」打線につかまった。
六回裏に大内碧真(3年)の2点適時三塁打で4―4の同点とされた。七回表に味方のソロ本塁打で勝ち越したが、その裏に浦和学院の主将・八谷晟歩(3年)の3点本塁打を浴び、逆転された。八回、3点の追加点を許した。「投げミスを確実に捉えてきた。さすが浦和学院。すごかった」
金子はこの夏、雪辱に燃えていた。
中止だった102回大会を挟んで「6連覇」を狙った昨夏。5回戦の山村学園戦で5―5の九回にマウンドに上がったが、サヨナラ打を許した。「(得意の)スライダーに頼りすぎた」。マウンドでうなだれ、涙を流した。
以後、どんな打者でも打ち取れるように変化球を増やし、相手打者の研究を抜かりなく行ってきた。今では「どの変化球でも三振を取れる」という自信と共に2年生の柴田樹とバッテリーを組む。
この夏は初戦(2回戦)から苦しい戦いだった。
武蔵越生に先制を許し、九回も一打サヨナラのピンチを招いたが、金子が一人で147球を投げきり、6―4で振り切った。4回戦でも、滑川総合に先制を許した。
それでも、試合を重ねるごとに調子を上げた。準々決勝では川越東を五回まで無失点に抑え、七つの三振を奪った。
迎えた浦和学院戦。序盤は変化球がさえたが、終盤、球威が落ちたところを狙われた。
昨年、敗れた時に先輩から「お前が代わりに甲子園に連れて行け」と言われた。その言葉を胸に戦ってきたが、かなわなかった。
試合後、柴田が「もっと一緒にやりたかったです」と声をかけてきた。金子は「悔しさを忘れず、来年は絶対にお前が甲子園に行け」と夢を後輩に引き継いだ。(仙道洸、仁村秀一)
花咲徳栄エース、後輩捕手に引き継ぐ言葉 磨いた変化球さえた準決勝 - 朝日新聞デジタル
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