ナタリーは15年前の2007年2月1日に、音楽ニュースメディアとしてスタートした。その後マンガ・アニメ、お笑い、映画、舞台・演劇と取り扱う分野を拡大し、現在では5ジャンルにわたって最新ニュースや特集記事を配信している。
十年一昔と言うが、2007年はどんな世界だっただろう。iPhoneの第1世代が発表されたのは2007年1月。Twitterの日本語版がリリースされたのも2008年4月と、今では当たり前のように触れているスマホやSNSが、15年前にはまだ身近なものではなかった。時代の変化に合わせて、エンタテインメントをめぐる環境も大きく変わっている。最前線を走るアーティストたちは、この15年の変化、あるいは進化をどんなふうに感じているだろうか。
ナタリーでは15周年に合わせて、日頃ナタリーを盛り上げてくれているアーティストたちに、エンタテインメントに関する「この15年でもっとも印象に残っていること」を聞いた。
寄稿者一覧(※50音順)
磯村勇斗 / 伊藤沙莉 / 大九明子 / 河瀬直美 / 白石和彌 / 塚本晋也 / 中川大志 / 浜辺美波 / 松本穂香 / 吉沢亮
本企画はナタリー全5ジャンルで展開中
音楽ナタリー編 / コミックナタリー編 / お笑いナタリー編 / ステージナタリー編
磯村勇斗(イソムラハヤト)
この15年でもっとも印象に残っていること
映画ナタリー15周年おめでとうございます。
15年前というと、僕は14歳になります。まだ俳優の仕事はしておらず、芸能界を夢見ていた頃です。
振り返ると2009年にマイケルジャクソンが亡くなり、凄い衝撃を受けた事を今でも明確に覚えています。当時、初めてレーザーディスクでスリラーを聴き、そこからマイケルジャクソンを好きになり、ライブで人が失神する程のパワーを持ったスターが世界にはいるのか!と感銘を受けました。ジャンルは違うけれども、同じエンターテイナーとして、世界の誰かの心に名作、生きた魂を残す。という事を俳優を通して僕も届けていきたいと思いました。
テレビや映画館で作品を届けるだけではなく、映画ナタリーのようにより作品を楽しんで貰える「情報」を届ける場がある事にも感謝しています。
近年、情報が錯乱し、いろいろな物事に対して安易に二極化が進む中、僕たちはどのようにエンターテイメントと向き合っていけばいいのか。しっかり考えていきたいです。
プロフィール
1992年9月11日生まれ、静岡県出身。2015年から放送された特撮ドラマ「仮面ライダーゴースト」でアラン / 仮面ライダーネクロム役、2017年度上半期の連続ドラマ小説「ひよっこ」でヒロインの夫となる役を演じ、一躍脚光を浴びる。近年の主な出演作に映画「今日から俺は!!劇場版」「ヤクザと家族 The Family」「東京リベンジャーズ」「劇場版 きのう何食べた?」、ドラマ「サ道」シリーズ、大河ドラマ「青天を衝け」など。WOWOW開局30周年プロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」には監督として参加し、近未来ディストピアSF「機械仕掛けの君」を手がけ新たな境地を切り開いている。2022年1月には出演作「前科者」が封切られ、待機作として6月公開「PLAN75」がある。第45回日本アカデミー賞では新人俳優賞を獲得した。
伊藤沙莉(イトウサイリ)
メッセージ
映画ナタリーさん
15周年おめでとうございます。
15年前、私は13歳の中学1年生でした。
そう思うとすごい年月だなと実感します。
中学生の頃の私は基本的に
映画にあまり縁がなく
あの大きなスクリーンに自分がでかでかと
映るということが
目標であり、夢でした。
それから少しずつ映画のお仕事を
頂けるようになって
一昨年にはミニシアターの危機を救う
基金の呼びかけや
ミニシアターへの思いを綴るエッセイに
参加させて頂きました。
憧れの世界へ飛び込みその活性化や存続を望み、
呼びかける立場となり
改めて、より映画の素晴らしさ、楽しさを
もっと沢山の方に知って頂きたいと
強く思っています。
そんな中でやはり映画ナタリーさんを始めとする
映画に関わるメディアの方々が
作品の大小関係なく皆さんに情報を
届けてくださることに心から感謝をしています。
エンターテイメントは、必要です。
これからも力を合わせて盛り上げていきましょう!
改めまして、本当におめでとうございます!
プロフィール
千葉県出身。2003年、ドラマデビュー。2020年、テレビアニメ「映像研には手を出すな!」やドラマ「全裸監督」などで第57回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞を受賞し、ドラマ「これは経費で落ちません!」では東京ドラマアウォード2020の助演女優賞を受賞する。2020年、映画「ステップ」「タイトル、拒絶」などが公開。「劇場」「ホテルローヤル」「十二単衣を着た悪魔」の演技で第63回ブルーリボン賞助演女優賞を獲得し、第45回エランドール賞新人賞の栄誉にも輝いた。近年の出演作にドラマ「いいね!光源氏くん」、「大豆田とわ子と三人の元夫」(ナレーション)、「モモウメ」、映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」「シチリアを征服したクマ王国の物語」(日本語吹替版)などがある。ドラマ「ミステリと言う勿れ」がフジテレビ系で放送中。2022年は池松壮亮とダブル主演を務めた映画「ちょっと思い出しただけ」の公開、そしてドラマ「拾われた男」のディズニープラスでの配信を控えている。
大九明子(オオクアキコ)
この15年でもっとも印象に残っていること
私事でございます。2017年に「勝手にふるえてろ」が第30回東京国際映画祭コンペティション部門にノミネートされたこと。結果的に観客賞も頂戴しましたが、ノミネートされた瞬間の「見つけてもらえた」という喜びは凄まじかったです。
メッセージ
私が商業映画を初めて公開した年が2007年でした。そうか。「恋するマドリ」公開から15年経つのか。この間になんどもナタリーさんに取材いただきました。この先も取材してもらえるように撮り続けたいです。こちとらとにかく作っていたいだけの人間です。
プロフィール
神奈川県・横浜市出身。1997年に第1期生として映画美学校に入学。1999年に「意外と死なない」で映画監督デビューした。以降「恋するマドリ」「東京無印女子物語」「ただいま、ジャクリーン」「でーれーガールズ」「美人が婚活してみたら」「甘いお酒でうがい」などを手がける。2017年の公開作「勝手にふるえてろ」で東京国際映画祭の観客賞を獲得。2020年公開作「私をくいとめて」で東京国際映画祭初となる2度目の観客賞と、第30回日本映画批評家大賞の監督賞を受賞した。2022年1月にAmazon Prime Videoでドラマ「失恋めし」が配信され、同じく1月にテレビ東京で連続ドラマ「シジュウカラ」が放送スタート。3月にはコメディ映画「ウェディング・ハイ」が公開される。
河瀬直美(カワセナオミ)
この15年でもっとも印象に残っていること
15年前の2月は「殯の森」のサウンドデザインをしていた。フランス人のデイビットが奈良に暮らし、ほとんどの音を収録しながらデザインしてゆくのだ。このような音の創り方をこれまでしてこなかった私は、その作業の緻密さに感動していた。やがてこの作品はその年のカンヌ映画祭「グランプリ」を受賞することになる。あれから15年、映画はフィルムからデジタルの時代を経て、やがて映画館から配信で楽しむものにその世界を広げてゆく。世界同時公開が現実のものとなるのも容易い時代がやってきた。世界各国の言葉に翻訳された作品が地球の裏側にまで同時に届けられることが現実となった。多様な文化、多様な言語や価値観。それらをもってしても、だからこそ重要なのは人類にとって共通の大切なテーマを深掘りすること。要するにコンテンツが重視されるのだ。世界は手の届くところにやってきて、自分を試すだろう。
双方向の関わりの中で僕たちは未来に触れにゆく。
プロフィール
奈良県出身。1997年に劇場映画デビュー作「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭の新人監督賞にあたるカメラドールを史上最年少で受賞。2007年には「殯の森」で同映画祭のグランプリに輝き、2013年にはコンペティション部門の審査員を務めた。2020年10月公開の「朝が来る」では、第44回日本アカデミー賞7部門で優秀賞を受賞。ほか代表作に「2つ目の窓」「あん」「光」など。総監督を務めた公式映画「東京2020オリンピック(仮)」が6月の公開を控えている。2010年には故郷奈良で「なら国際映画祭」を立ち上げ、積極的に後進を育成。2025年大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー兼シニアアドバイザー、バスケットボール女子日本リーグ会長、ユネスコ親善大使も務め、CM演出、エッセイ執筆などその活動は多岐にわたる。プライベートでは野菜やお米も作る一児の母。
※
白石和彌(シライシカズヤ)
この15年でもっとも印象に残っていること
配信プラットフォームがたくさん出来たこと。映画・ドラマの作り方、届け方が大きく変わったと感じます。その中でいかに制作して、いかに観客と向き合って、どう社会を見つめるのか。自分自身と問答を繰り返す日々です。
メッセージ
15年前、何者でもなかった私は、一本でもいいから監督をしようと助監督に区切りをつけた頃でした。それから多くの俳優やスタッフ、たくさんの応援してくれる方々のおかげで今があります。ですが、15年前の自分は果たして今の私の映画を見たらなんと言うのだろうかといつも考えます。果たして喜ぶのだろうか、それともガッカリするのだろうか、と。15年後の自分に嘘のないように引き続き映画を作っていきます。ナタリーさん、引き続きよろしくお願いします。
プロフィール
1974年12月17日生まれ、北海道出身。若松孝二に師事し、フリーの演出部として行定勲、犬童一心らの監督作にスタッフとして参加する。2010年「ロストパラダイス・イン・トーキョー」で長編監督デビュー。2013年に長編第2作「凶悪」で新藤兼人賞2013の金賞をはじめ多数の賞に輝き、2017年には「彼女がその名を知らない鳥たち」で、2018年には「サニー/32」「孤狼の血」「止められるか、俺たちを」の3作品でブルーリボン賞監督賞を獲得した。そのほか近作に「凪待ち」「ひとよ」など。2022年春には「仮面ライダーBLACK SUN」の配信、5月には「死刑にいたる病」の封切りを控える。
塚本晋也(ツカモトシンヤ)
この15年でもっとも印象に残っていること
やはり「沈黙-サイレンス-」でしょうか。光栄にも大事な役で出演させていただきましたが、自分の出演と関係なく、あのマーチン・スコセッシ監督が、日本を舞台に日本人の俳優を使った映画となれば、初めからビッグイベント必至でした。原作を読み、遠藤周作さんの大作がどうスコセッシ監督によって表されるのかと思うと、ドキドキしました。オーディションに受かってから、撮影が実現されるまで5年ほどかかったので、この15年を振り返ってもかなりの時間を占めています。規模は天と地ほど違いますが、自分の作った「野火」とも深いところでつながり合うテーマがあり、とても大切な映画になりました。
メッセージ
ナタリーさん、これからも新しい情報の発信、楽しみにしています。
プロフィール
1960年1月1日生まれ、東京都出身。1989年に「鉄男」で劇場映画デビューし、「東京フィスト」「六月の蛇」「KOTOKO」「野火」「斬、」など数々の監督作を手がけた。俳優としても活動しており、2016年にはマーティン・スコセッシ監督作「沈黙-サイレンス-」に出演。現在、ミニシアターの魅力を映像で紹介する企画「街の小さな映画館」をYouTubeで発表している。
※
中川大志(ナカガワタイシ)
この15年でもっとも印象に残っていること
田舎の小学生だった自分が、芸能界という世界に出会った事です。
13年前の、あの日、あの場所を歩いてなかったら、声をかけられる事も、役者になる事も無かったのかなと思うと、不思議です。
自分は今頃どうなってたんだろう。と
ふと考えます。
メッセージ
ナタリーさん、15周年おめでとうございます。
役者として、これからも、観てくださる方々の日常の一部として、無くなったら寂しいと思って貰えるような、エンタメ作りに携わっていきたいです。
新しいチャレンジをし続けて、自分自身も自分に驚いたり、発見したりしながら、進化していきたいです。
今後も沢山取り上げてください。笑
プロフィール
1998年6月14日生まれ、東京都出身。ドラマ「家政婦のミタ」で注目を集め、映画「きょうのキラ君」「ReLIFE リライフ」「虹色デイズ」「砕け散るところを見せてあげる」「FUNNY BUNNY」では主演を務めた。そのほか近年の出演作に映画「坂道のアポロン」「犬部!」、連続テレビ小説「なつぞら」、ドラマ「G線上のあなたと私」「親バカ青春白書」があり、2021年7月より放送された「ボクの殺意が恋をした」では“間の悪い殺し屋”役で話題に。現在は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に畠山重忠役で出演中。2022年夏公開の「ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ」では、前作に続き日本語吹替版のソニック役を務める。
浜辺美波(ハマベミナミ)
この15年でもっとも印象に残っていること
俳優という職業に携わるにあたり映画を幅広く観るようになりました。コロナが記憶に新しいですが、生活必需品ではないけれど、映画やドラマ、舞台、音楽の娯楽としての存在意義を感じ、貴重な経験をしているなと思いました。一斉にお仕事が休止した期間にも自分が俳優業をしていたことは、これからも大きく影響してくるのかなとも思います。
メッセージ
15周年誠におめでとうございます。そしていつも素敵な記事をありがとうございます。たくさんの取材でナタリーのみなさん、そして記事を通じて読者のみなさんにお会いできるよう、素晴らしい作品との出会いを求めて、これからも精一杯お仕事に励みます。まだしばらくお世話になります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
プロフィール
2000年8月29日生まれ、石川県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションニュージェネレーション賞を受賞。実写ドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」での本間芽衣子役や、連続テレビ小説「まれ」への出演で話題になり、2017年公開作「君の膵臓をたべたい」では日本アカデミー賞新人賞などに輝いた。主な出演作にドラマ・映画「賭ケグルイ」シリーズ、映画「思い、思われ、ふり、ふられ」「約束のネバーランド」など。現在、主演ドラマ「ドクターホワイト」がカンテレ・フジテレビ系で放送中。2022年4月1日に出演作「やがて海へと届く」の公開を控えるほか、2023年3月公開予定の「シン・仮面ライダー」でヒロイン・緑川ルリ子役を務める。
松本穂香(マツモトホノカ)
この15年でもっとも印象に残っていること
わたしが、この15年の中で印象に残っているのは、やっぱりデビューした時のことです。まだ、ろくに社会のことも知らない高校三年生のとき、右往左往しながらも、初めての経験や、初めての感覚に、胸がドキドキしたのを覚えています。それから、長編映画初主演の「おいしい家族」もすごく印象に残っています。いっぱいいっぱいだけど、常に心の中に1本まっすぐな気持ちを持っていました。これからも、あの時の気持ちを忘れずに、作品と向き合っていきたいと思います。
メッセージ
ナタリーさん! 15周年、おめでとうございます! いつも本当に素敵な記事をありがとうございます! これからも、一緒にエンタメ界を盛り上げていけるように私も頑張ります!
プロフィール
1997年2月5日生まれ、大阪府出身。2015年に「風に立つライオン」で長編映画デビュー。2017年放送のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」で注目を集める。翌2018年にはオーディションで役を射止めTBSの「この世界の片隅に」で連続ドラマ初主演。そのほか主演作に「おいしい家族」「わたしは光をにぎっている」「酔うと化け物になる父がつらい」「君が世界のはじまり」など。2022年3月にはNetflix映画「桜のような僕の恋人」の全世界配信、NHK特集ドラマ「ペットにドはまりして、会社辞めました」、「WOWOWオリジナルドラマ 松尾スズキと30分の女優2」の放送を控えている。
吉沢亮(ヨシザワリョウ)
この15年でもっとも印象に残っていること
大河ドラマ「青天を衝け」で主演の渋沢栄一役を務めたこと。1年以上かけて、ずっと同じ役を演じるという経験をさせていただき、役者の基礎の力を鍛えられたと思います。
メッセージ
15周年おめでとうございます。ナタリーさんの企画では、クルエラのコスプレでディズニーに行った楽しい思い出があります。
僕はナタリーさんと同じ2月1日生まれということで、ぜひ来年は一緒に誕生日パーティーをしましょう!
プロフィール
1994年、東京都生まれ。2009年、アミューズの全国オーディションで審査員特別賞を受賞し、俳優デビュー。以降、ドラマ、映画、舞台など幅広く活躍。映画「キングダム」で、第43回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞。これまでの主な出演作に、ドラマでは連続テレビ小説「なつぞら」、映画では「リバーズ・エッジ」、「銀魂」シリーズ、「東京リベンジャーズ」、舞台では百鬼オペラ「羅生門」、ミュージカル「プロデューサーズ」などがある。2021年の大河ドラマ「青天を衝け」では、主人公・渋沢栄一を演じた。舞台「マーキュリー・ファー」が2022年1月28日より上演中。2022年夏に映画「キングダム2 遥かなる大地へ」が公開予定。
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