俳優・笠松将の活躍が止まらない。2021年はSeason3の配信も決定している『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系)を皮切りに、映画・ドラマに多数の作品に出演。どの作品でもそこに“笠松将”がいるという爪痕を残し続けてきた。フィルモグラフィーから分かるのは、藤井道人監督をはじめ、一度タッグを組んだ制作陣との再タッグが多いこと。そのことからも作り手たちから信頼される、愛されている俳優であることが分かる。
2019年に当サイトで行ったインタビュー(笠松将、初めて明かす“役者”への思い 「1番になるまでは絶対にやめられない」)では、「『笠松将が出てるなら絶対に面白い』と思われる存在になりたい」と力強い言葉を残していた。当時から2年が経ち、彼の中ではどんな変化が起きているのだろうか。『青天を衝け』『岸辺露伴は動かない』とNHKドラマへの出演が重なった年末に、じっくりと話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】
精神的にも肉体的にも自分と向き合うように
ーー2019年の5月に取材させていただいた際、「(俳優を)1番になるまでは絶対にやめられない」という言葉が強く印象に残りました。あれからたくさんの出演作があり、多くの方に名前を知られる存在となったと思います。約2年が経ち、笠松さんの中での思いに何か変化はありましたか?
笠松将(以下、笠松):僕はエゴサーチをよくするんです(笑)。そうすると応援してくださっている方々が、この記事を定期的に挙げてくれているんですよ。ふと読み返すときがあるのですが、当時の気持ちとは随分変わっていると思います。それがいいことなのか悪いことなのかは分からないですけど。語弊を恐れずに言うならば、「もう1番になった」って思うんです。何をもって“1番”というのはすごく難しいのですが、俳優業のすべきものの中でめちゃくちゃ小さい点で見るなら、「1番になった」と言えるものはあるんじゃないかって。それは自分の中で「演じる」という部分について。サッカーで例えるならば、「ボールを止めて蹴る能力」といえばいいでしょうか。逆にわかりづらいですかね(笑)。単純に演じるということ、自分の中の部分では、できるようになったという自負はあります。でも、それは他の俳優の方々より自分が上という意味ではなくて。俳優業は「演じる」ということ以外にも大事なことがたくさんあります。またサッカーで例えると、「ボールを止めて蹴る能力」があることと、「チームを勝たせる能力」「お客さんを楽しませる能力」はイコールではないと思うんです。前者が必要な能力として前提にあった上で、その上でさらに何ができるかが大切になってくる。自分も俳優としてまさにそれを感じるようになったというか、芝居の技術だけを考えるのではなく、次のステージを目指さないといけないと今は思っています。だから、まだまだ先は長いです。
ーー直近の出演作を振り返っていくと、2回目以降のタッグを組む監督が増えていることが象徴的なように、「笠松さんにお願いしたい」という名指しのオファーが増えているように感じます。オーディション中心だった数年前と比べて、そのあたりはいかがですか。
笠松:今の方が難しいなと。もし、この記事を読んでくれている方で、俳優を目指していて、オーディションで受からず悩んでいる人がいたら、「怖くないよ」って言ってあげたいです。オーディションって選ばれる側なわけですけど、土俵には必ず立てるわけで、そこでどうなるかは自分次第。突き詰めて信じてやれば絶対できると思うんです。オファーをいただけることはうれしいことですが、身体はひとつしかないので、何をやって何をやらないかを選ばないといけない。その選択はとても難しいですし、オーディションで選ばれるよりも、期待されてのオファーの方が、怖さと難しさがあります。
ーー自分を知ってくれている作り手たちだからこそ、前回と同じでは満足してもらえないと。
笠松:そうですね。最初は自分の癖もある種の“味”としていかせますが、2回目、3回目だとそれもいかせない。作品を観てくださる方々にも、「またこのキャラクターか」「またこの雰囲気か」とも思われたくない。だから、作り手の方々にも、これまでの作品を観てくださっている方々にも、はじめましての方々にも、次の作品も観たいと思ってもらえる芝居をしないといけないという覚悟はあります。もっともっと磨いていかなきゃいけないなって感じですね。
ーー12月27日に放送される『岸辺露伴は動かない』第4話「ザ・ラン」の役柄が象徴的ですが、今年の笠松さんの動向を見ていると、役柄に合わせて“肉体”を仕上げているのが印象に残りました。外側の部分での役作りを行ったことで、何か変化はありましたか?
笠松:20代前半の頃は、バイトしてオーディションに行って、ほとんど寝ないでまたバイト行って……と、結構無茶苦茶な生活を送っていたんです。でも、今は寝ないと心は病むし、愚痴も出る。ご飯もちゃんと食べないと疲れやすいし、パワーも出ない。役作りで身体を仕上げるようになって、そんな当たり前のことに気づくようになったのは大きいですね。今は体にいいものを食べて、ちゃんと運動もして、いい睡眠も取るようにしています。健全な肉体に健全な精神を宿した上で台本と向き合わないと、やっぱりひねくれちゃいますよね。僕は元々ひねくれているから(笑)、台本に向き合うときはひねくれない精神でいないといけないなと。ここ1年ぐらいで、精神的にも肉体的にも自分と向き合うようになったと思います。
笠松将、変化した思いと変わらぬ思い 「次のステージを目指さないといけない」 - リアルサウンド
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