サービス産業の活動状況を表す指標である「第3次産業活動指数」。そのうち「生活娯楽関連サービス」は、新型コロナウィルス感染症の拡大で特に大きな打撃を受けた。「理容業・美容業」もまた、それに含まれる業種のひとつだ。コロナ禍による生活様式の変化は、どのような影響をもたらしたのだろうか。背景にあるトレンドの変化を踏まえ、理容業・美容業の動きについて振り返る。
コロナ禍で支出は大きく変化
ヘアカットなどの理美容サービスを受けるタイミングは、「気になった時に」という方、「定期的に決めて行く」という方、様々であろう。
コロナ禍前の2015年~2019年におけるカット代やパーマネント代、理髪料といった理美容サービスへの家計支出の状況をみると、年度終わりの3月と、年末の12月に共通して支出が増加する傾向がみられる。新年、新年度を迎える前に身だしなみを整えておこう、と意識する方が多くいるようだ。
そして、GWのある5月から夏本番を迎える7月にかけては、サービスによって時期が異なるものの上下する動きがみられ(6月にパーマネント代への支出が増えるのは梅雨時の湿気対策であろうか)、夏の終わりから年末にかけては減少傾向、という年間の動きがあることがうかがえる。
新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた2020年以降の支出状況をみると、1回目の緊急事態宣言が出された4月は大幅に減少し、その反動と続く外出自粛などの影響で5月から秋頃にかけて例年と異なる動きがみられた。また2021年に入ってからも、2回目の緊急事態宣言下の3月は例年ほど増加せず横ばいとなるなど、影響が続いていることがうかがえる。
パーマ離れ?過去10年間で見る理美容サービスへの支出トレンド
このように、2020年以降、理美容サービスへの支出にコロナ禍の影響が大きくみられたが、長期的な支出傾向はこれまでどのように変化してきているのだろうか。
理髪料・カット代・パーマネント代への支出推移をみてみると、全体としては減少傾向にあることがわかる。個別にみると、カット代は増加傾向にあり、これは、美容室を利用する方が増加していること、また美容室の価格帯の二極化が進んでいるためと考えられる。他方で理髪料、パーマネント代は年々減少しており、特にパーマネント代は顕著にその傾向がみられる。
パーマネント代の減少は、ヘアスタイルの変化や、自宅で使用できる美容家電の進化も一因なのかもしれない。
美容業指数は低下傾向が続く
カット代のみをみるとここ10年間で増加傾向にあるものの、主力の美容サービスへの家計支出(カット代・パーマネント代)を基に作成される美容業(美容室)の活動状況を示す指標をみると(冒頭の「コロナ禍での理容業・美容業指数の推移」グラフ参照)、美容業指数は長期的に低下傾向が目立つ。
美容室の数は増加を続けており、2019年までの9年間で3万軒以上も増加している。美容業指数が長期的な低下傾向にあるのは過当競争が影響しているとも考えられる。
コロナ禍において、理美容業は休業要請の対象にはならなかった。だが、例年と家計支出のピーク傾向が異なり、支出金額が減少するなど大きな変化がみられた。外出自粛の拡がりなどにより、来店を控えたため来店間隔が長期化したことなどの影響が考えられる。2021年後半もコロナ禍の影響が続くことが予想されるが、回復状況を注視していきたい。
【METIジャーナル】の本文はこちらトレンドの変化も一因か。統計から見たコロナ禍における理美容業|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch
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