2021年10月31日07時18分
プロ野球のオリックスが、25年ぶりにパ・リーグ制覇を果たした。2年連続最下位、長らくBクラスに低迷していたチームが変貌を遂げた要因には、先を見据えた眼力と勇気を持った中嶋監督の手腕があった。
絶妙タクト、けがに配慮 救援は3日連投させず―プロ野球「中嶋マジック」(下)
◇「今までと一緒は駄目」
5月5日の西武戦前の練習中。中嶋監督はいつものようにふらっと安達に近づき、冗談っぽく言った。「きょう、セカンドでいくから」。何の前触れもなかった予想外の一言。遊撃のレギュラーを張ってきた安達は「本当ですか」と返したが、監督の言葉はうそではなかった。
この日から、高卒2年目の紅林を正遊撃手に据えた。安達は難病の潰瘍性大腸炎を抱え、全試合は出場できない。安達は「ショートは出続けないとチームは強くならない。今だろうなと思った」。このタイミングでのコンバートを受け入れた。
4月は守備でミスを連発していた紅林の起用には、時期尚早との見方もあった。安達も「どうなんだろうな」と懐疑的だったが、19歳の成長速度はすさまじかった。シーズン終盤には、何度も好守でチームを救う。中嶋監督は「もともと下手ではないしやれる子」とみていた。自分の眼力を信じ、変化をいとわないのが中嶋流だ。
就任時から育成と勝利の両立を目指した。「育てながら勝つ」。実際はかなり難しいが、一度もぶれなかった。7月に「2軍で調子がいい。見てみたい」と抜てきした来田が、高卒新人史上初の初打席初球本塁打のインパクトを残した。優勝争い真っただ中の9月には、今季デビューして未勝利だった山崎颯を先発ローテーションに入れた。
大黒柱の吉田正がけがで離脱した9月には、対応力が増してきた紅林を代わりの3番で起用。紅林のバットが勝利を呼び込んだ試合もあり、この思い切りも吉と出た。安達をコンバートした西武戦後に監督は「われわれは最下位から始まったチャレンジャー。今までと一緒では駄目だ」。言葉に信念が見えた。
変化いとわない中嶋流 遊撃は安達から紅林へ―プロ野球「中嶋マジック」(上) - 時事通信ニュース
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