監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二に敬意を表して終わった『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(’19年)の公開から2年……ついにハリウッド版『ゴジラ』新作が日本に上陸する。前作は快作『三大怪獣 地球最大の決戦』(’64年)のリメイク風新作だったが、今回はゴジラの国際的なポジションを決定的なものにした1962年公開の大ヒット作『キングコング対ゴジラ』のリメイクにあたる。その名も『ゴジラvsコング』。オリジナルのタイトルで、キングコングの名前が先に来ている事実に対し、“敗戦国”という言葉が脳裏をよぎったが、半世紀以上を経て今作では、同胞・ゴジラの名前が先に来たことは素直に嬉しい。
さて、オリジナルの『キングコング対ゴジラ』の観客動員数1120(1255という記録もあり)万人という数字は、当時の日本の人口比からすると相当な数だが、入場料ひとりン百円という事実も考え合わせると、想像以上の特大ヒットだったのでは!?……と、思えてならない。
そこで今回は、特撮マニアにとっての常識、一般人にはトリビアな『キングコング対ゴジラ』の裏話を少々お伝えしよう。
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『キングコング対ゴジラ』で一番ウケた「大ダコ」とのバトル
この『キングコング対ゴジラ』で、海外で一番ウケたのが、なんと、キングコングと大ダコのバトルシーンだった。確かに観れば、迫力と工夫に溢れた屈指の名シーンであることには違いないと思うが、「この映画の売りはキングコングとゴジラのプロレスばりの激バトルなのでは!?」と思わざるを得ない。でも、そこが一番ウケてしまったというのだから仕方がない。
その証拠(?)に、本作の3年後にアメリカのベネディクト・プロと合作・公開された東宝特撮映画『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』(’65年)にも、先方のリクエスト(!)で大ダコが登場することに。それも、主人公のダークヒーローであるフランケンシュタインが、仇敵たる地底怪獣=バラゴンを倒した後、山の湖から(なぜ?)なんの伏線もなく大ダコが登場! フランケンシュタインに絡み付き、共に湖に没してそのまま幕を閉じる……という唖然呆然ぶり。このラストはあくまでも海外向けで、日本ではバラゴンを倒して終わっているが、いくら“タコ好き”といっても、さすがにこの唐突なラストには当時の海外の観客も度肝を抜かれたのではないか。なお、大ダコは『フランケンシュタイン対地底怪獣』の続編『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』(’66年)にも登場。こちらでは冒頭で、普通に怪獣ガイラに倒されて終わった。それほど『キングコング対ゴジラ』の大ダコは世界を震撼させたのだった。
『ゴジラvsコング』の原点『キングコング対ゴジラ』撮影秘話……敵の大ダコはその日のスタッフの夕食になっていた - 文春オンライン
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