
企業業績は、好不調の二極化が一層鮮明になっている。好業績の企業は新たな分野への攻めの投資で、日本経済を
東京証券取引所に上場する企業の3月期決算がほぼ出そろった。金融を除く1部上場約1300社の最終利益の合計額は、前期比で28・1%増となった。
しかし、株高で保有株の価値が上がり、約5兆円を計上したソフトバンクグループを除くと、最終利益は前期比約3%減だった。
新型コロナウイルスの流行で昨年度の国内総生産(GDP)の実質成長率が戦後最大の下落となる中、上場企業の業績は全体で見れば底堅かったと言えよう。
旺盛な「巣ごもり需要」による家電やゲーム機などの販売増や物流の伸びもあり、過去最高益となった企業が約280社あった。
製造業は、海外経済の持ち直しによる輸出の回復で、最終利益の合計が3割以上増えた。構造改革が成果を上げた企業が多い。
日立製作所は、機器や設備などハードの販売からITサービスへの転換を進め、最終利益が初めて5000億円を上回った。ソニーは音楽の定額配信といったソフト分野を伸ばし、過去最高となる1兆円超をたたき出した。
製造業を代表するトヨタ自動車も、地道な原価低減などで2兆円を超す最終利益を確保した。
温室効果ガスを出さない脱炭素やデジタル化で、世界の競争は激しい。在宅勤務の普及で消費者の行動様式も変わった。不足する半導体の確保策も急務だ。
好調な企業は投資をためらうことなく、新たなモノやサービスを創出してほしい。
一方、非製造業はコロナ禍の直撃を受けて、最終利益の合計が4割近く減った。
ANAホールディングス、日本航空、JRや私鉄といった航空・鉄道は軒並み赤字だった。旅行会社や百貨店も厳しい。
ただ、外出自粛などで家計の貯蓄は増えている。ワクチンが行き渡れば、サービスの消費が急回復する可能性もある。それまでコスト削減や資産売却などに手を尽くし、耐え抜くことが重要だ。
感染の長期化で、企業の借金は膨らんでいる。返済不要な資本の注入が望まれている。
旅行業界などで、金融機関に資本支援を要請する動きがある。政府系金融機関の日本政策投資銀行は、飲食、宿泊業界向けのファンドを設立した。官民で多様な資金繰り支援を続けたい。
上場企業決算 社会の変化捉え新たな成長を - 読売新聞
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